2019

12/03

~ビタミン剤・新薬~全ての薬剤の薬価は2年ごとに見直される

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小黒 佳世子
『薬剤師のお仕事』『小黒先生の薬の話Q&A』連載
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2012年11月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(8)

サプリメントと医薬品の違い

Q1)ビタミン剤などは、サプリメントとして販売されているものと医薬品とがありますが、効果に違いはあるのですか?

A1

ビタミン剤の効果はサプリメントも医薬品も違いはありません。では、どうして同じものが医薬品として販売されたり、サプリメントとして販売されたりするのでしょう。両者の違いは商品として販売するときの許可、申請の違いです。サプリメント(supplement)はもともと「補足する」「補う」の意味で、健康を維持する上で必要な栄養素を補う食品について呼ばれておりますが、法律上では明確に定義されておらず、食品衛生法によって保健機能食品として規定され、その成分によって特定保健用食品、栄養機能食品に分類されています。

ビタミンを含むものは栄養機能食品にあたり、表示については消費者庁によって規定されており、機能の表示と併せて定められた注意喚起表示等を適切に表示しなければなりませんが、販売に関する国への許可申請や届出は必要ありません。また特に錠剤やカプセル剤の形状のものについては、原材料等の成分が濃縮されるという特性があることから、一定の安全性確保のために厚生労働省によって製造、販売業者への自主点検ガイドラインが示されております。

一方、医薬品におけるビタミン剤は、医師からの処方によって服用するものも一般用医薬品も、厚生労働省によって医薬品としての製造、販売が承認されたものです。特定の賞状、疾病に対して服用されるもので、医師から医療保険を使用して処方を受ける場合には、食品からの必要量の摂取が困難な場合と、規定されているビタミンもあります。サプリメントとしてビタミンを接種する場合には、症状や服用目的にあっているか、内容量は適切かが選ぶ時のポイントになるでしょう。薬剤師にご相談ください。

新薬は安くなるの?

Q2)<処方された薬について>新薬は高いと聞きますが、どのくらいの期間がたつと安くなっていくのですか?

A2

病院などで医療保険を使用して処方してもらう医療用医薬品は、全て厚生労働省によって価格が決められており、これを「薬価」といいます。医師は「薬価基準」と呼ばれる価格表に収載されている医薬品の中から薬を選んで処方しなければ医療保険は使用できません。内用薬、外用薬、注射薬など併せて約1万5千品目以上に上ります。薬価基準への新規掲載は、新薬については年4~5回、後発品は7月と11月の年2回です。古い薬の製薬販売が中止されると、薬価基準から削除されることになります。

新薬が保険診療で使われるようになるには、動物実験や臨床実験等、各種の試験を経た後に厚生労働省の承認を受ける必要があり、この時に薬価も決められます。

全ての薬剤の薬価は2年ごとに見直され、新年度の4月に全面改訂されます。これは、国の医療費抑制策の一環でもあり、事前に医療機関での薬の仕入れ値が調査され、これを参考に新しい薬価が設定されます。仕入れ価格は薬価より安いので、ほとんどの薬の薬価が引き下げられることになります。競合品が多く安値で販売されている薬は、その分引き下げ幅が大きくなります。新薬もこのような同様の経緯で薬価改定ごとに安くなっていきます。なお、ジェネリック医薬品が初めて薬価収載される時には、通常新薬の薬価の70%からスタートします。

 

 

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