大城光輝 さん

琉球大学医学部医学科4年生

2024/03/01

病気になる前から病気になった後の生活までを支える医療を

「命を救う側になる」という責任

医療系学生インタビュー(63)

――医師を目指したきっかけは?

大城 最初のきっかけは、小学生くらいの頃に医療系の漫画やドラマを見て、人の役に立つ仕事として漠然と憧れたことです。ただ、医師を目指す決意がハッキリしたのは、医学部に入った後だったと思います。大学2年生のときに、友人が倒れて救急車を呼ぶ機会があったんです。まだ基礎医学しか学んでおらず、直接的な救命活動は何もできませんでした。そのときの悔しさと同時に「自分は命を救う側になるんだ!」という責任を感じて、医師になろうという気持ちが定まりました。

――課外活動にも積極的に取り組まれているそうですね。

大城 いろいろなことに積極的に挑戦するようにしています。その中の一つがアルバイトです。塾やコンビニ、結婚披露宴での単発のアルバイトまで、いろいろな仕事を経験しました。社会経験という意味もありますが、将来、医師になってから役立つと思い、敢えて医療とは違う業界のアルバイトをしました。

例えば、病院で診る患者さんの背景はバラバラです。患者さんと医師として接するだけでは見えない事情もあります。そういう方々の考え方を知っていれば、治療方針の立て方もより良くなると思うんです。

アルバイト以外では、医療系企業のインターンとして、医療系学生向けのメディアを作るプロジェクトにも参加しました。企画をどうマネタイズするか考えることから始まり、企画書を書いてプレゼンテーションをしたり、学生団体を取材して記事を書いたり、制作スケジュールを管理したり……、いろいろな仕事をさせてもらい、すごく貴重な経験になりました。

学び合いで多職種連携のタネをまきたい

――学生団体の立ち上げもされているとのことですが、どのような団体なのでしょうか?

大城 「医療人@沖縄」というコミュニティーを、1年ほど前に立ち上げました。僕が今いちばん力を入れている活動です。「多職種連携と沖縄」をテーマに、医師、看護師、保健師、管理栄養士、鍼灸師などの医療職を目指す学生が交流したり学び合ったりしています。

今まで医療・福祉の分野では、医師がリーダーシップを取ってものごとを進める印象がありました。でも実際問題、医師だけでは難しい。医療職各分野の方々が力を合わせてこそ、本当に患者さんのためになる働きができると思うんです。医学生は他の医療系学生から怖がられているというか、距離を置かれていると感じます。それで、学び合いでその垣根をなくし、連携の下地を作る場にしたいと考えて立ち上げました。

――どんな活動をしていますか?

大城 だいたい半年に1回は多職種連携のための勉強会を開いています。また、このコミュニティーを足掛かりに県外に飛び出そう! ということで、2023年12月には医療人@沖縄で「学会旅行」という企画を立てて、みんなで一緒に三重県の学会にも参加しました。今後も地域医療やプライマリ・ケアなどの学会に積極的に参加したいです。

他にも、交流のためのビーチパーティを開いたり、週に1回運営メンバーでミーティングをしたりといった活動をしています。

現在、運営メンバーは9名で、今まで開催した勉強会には延べ50~60名の方々が参加してくれました。まだ模索中ではありますが、医療系の学生が学び合い刺激し合う場として、活動を充実させたいと思っています。

沖縄県庁の公衆衛生医師を目指して

――座右の銘や好きな言葉を教えてください。

大城 2つあります。1つは“The first follower is what transforms a lone nut into a leader.” 「リーダーをリーダーたらしめるのは2人目の人だ」という、Derek Sivers氏の言葉です。

ある活動にリーダーがいるとき、そこには必ずリーダー以外の人がいる。もちろんリーダーはすごいけれど、1人だけの言葉では絵空事で、付いてくる人がいるからこそ言葉が現実になるのだということを忘れたくないと思います。自分も活動をするときには周りを味方に付けられるようになりたいし、良い志を持った人がいたら迷わず付いていきたいです。

もう一つは、「人を成長させるのは人、本、旅」という出口治明氏の言葉です。シンプルですがまさにその通りと感じていて、新しい経験や挑戦に迷ったときに指針になってくれます。

――医師を目指す後輩へのメッセージをお願いします。

大城 座右の銘で紹介したとおりなのですが、人に会ったり、本を読んだり、いろいろな場所に足を運ぶことを学生のうちにぜひやってほしいです。人生観が広がっていくと思います。やる気のある学生には、偉い人も笑顔で時間をつくってくれたり、時間のある学生だからいろいろなところに足を運べたり、いろいろなことを学ぶことができます。学生という身分を最大限活用して、学生生活を楽しんでほしいなと思います。

また、一つおすすめなのが、学生のうちにお金の勉強をしておくことです。生きるうえでお金は絶対に必要。どんなに社会的に素晴らしい活動をしていても、お金がなくなっては生きていけません。お金儲けがしたいわけじゃないという方もいると思いますが、本当にしたいことが「お金」が障害となってできなくなってしまうことは悲しいことです。日本では「お金儲け=悪」みたいなイメージがありますが、その圧に負けず、しっかり稼いだり管理したりできるようになった方が良いと思います。

僕は大学に入ってからファイナンシャル・プランナーと簿記の3級を取りました。資格を足掛かりにしてもいいし、そうでなくてもいいので、勉強しておいて損はないです!

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