2020

10/28

コロナ×インフルエンザの同時流行シーズン到来!?

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川内 潤
NPO法人となりのかいご 代表理事

ウェブサイト限定記事

隣(となり)の介護(10) 高齢者の生活リスクとの向き合い方

毎年、冬になると流行するインフルエンザウイルス。それに加え、現在、新型コロナウイルスの終息も先が見えず不安な日々が続いています。いずれも高齢者が感染すると、重症化のリスクが高いため、これからの季節は一層の注意を払わなければなりません。そこで今回は、「高齢者の生活リスク」との向き合い方についてお話しさせていただきます。

自分が感染しない

高齢の家族と接触がある場合、手洗い、うがいを徹底して、「自分が感染しない」ように努めてください。離れて暮らしている場合、高齢の親の様子が気になる方も少なくないでしょう。そのためテレワークなどで時間ができ、「様子を見に行こう」と思われる方もいるかもしれません。自分が感染源となる可能性も踏まえて、親が元気でいるならば、必要以上に接触はしない方が良いでしょう。電話の頻度を増やすなどで不安を払拭していただければと思います。

家族に心配を掛けたくない気持ちがアダになる?

離れて暮らしていた場合、「何かあったら、遠慮なく連絡してね」と携帯電話の番号を冷蔵庫に張っておいたとしても、そこまでつらい症状がでなければ「仕事や子育てで忙しい家族に余計な心配を掛けたくない」と、親として電話するのは気が引けるものです。ぜひ、こちらから仕事や子育てなどの身近なことの相談をするなどして、無理のない範囲で普段から気軽に声を掛け合える関係づくりを少しずつ進めておくことが大切です。

近隣との連携づくり

特に働きながら家族の介護に向き合うには、「遠くの家族よりも、近くの他人」という姿勢も必要です。何か変わったことがあったら、すぐに知らせてもらえるよう隣近所の方に声を掛けておくなど、家族の近隣に見守りの体制を作ることを心掛けてください。これは、遠方の家族に限りません。近距離(もしくは同居)に心配な家族がおられる場合も、出勤中や出張中に、早めに気付くことができる体制づくりは大切です。

高齢者は肺炎にかかっても熱が出ない?

インフルエンザや新型コロナウイルス感染も心配ですが、これからの季節、高齢者に多い病気の一つに肺炎があります。働く世代の私たちであれば、ひどい熱、繰り返される咳などで、実際は肺炎になる前に病院で治療することがほとんどです。しかし、75歳を過ぎた高齢の方々は、この熱、咳、痰の症状がなく(または軽い状態で)、突然、意識がもうろうとして倒れたり、けいれんなどの意識障害を引き起こしたりすることがあります。

また、身体の免疫機能が弱まって病気にかかりやすく治りにくいため、ちょっとした体調変化であっても、早めに受診をすることをお勧めしています。できれば、気軽に相談ができるかかりつけのお医者さんを決めておくと、より安心につながります。

施設と自宅、どちらが安全か?

要介護状態で介護サービスを利用している場合、 「デイサービスで感染したら大変!」と、利用している介護サービスの中止を考える方もいるかもしれません。これは考え方の1つではありますが、施設には看護師などの専門職がおり、利用者に異変があればすぐに気が付きます。万が一のときも、保健所などとの連携を取り、家に一人でいて発症するよりも迅速かつ適切な対応が受けられる可能性が高いのです。

一番大切なのは家族の心構え

どんなに家族が頑張っても、100%高齢の家族の体調の変化に気付くことができるわけではありません。仮に、常に家族がそばにいる生活をしていても、肺炎や転倒を完全に防ぐことはできないでしょう。そのため、体調に変化があり重い要介護状態になってしまっても、その現実を受け入れていく、皆さんご自身の心構えが、実は一番大切なのです。

まずは「完全に防ぐことはできない」ということを知っていただき、その上で兄弟や親戚(できれば、心配な家族の人と)「介護状態が進んだら」「いざ最期の時となったら」など、話し合っておくことをお勧めします。話すときのきっかけとして、有名人や身近な方が入院されたり亡くなられたりしたときに、「お父さん、お母さんは、何か考えていることある?」と、話題を提供してみるのもいいでしょう。

季節の移り変わりに合わせて、家族と互いの日々の生活のことや、これからのことについてお話しすることは、「高齢者の生活リスク」と向き合う方法の1つでもあるのです。

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