2026

07/08

町の完全断水で再認識したこと

  • 地域医療

  • 北海道

横山 和之
北海道社会事業協会 岩内病院 院長

地域医療・北海道(61)

地下水を汲み上げ、飲料水以外の水を確保

私の勤務する北海道社会事業協会岩内病院(以下岩内病院)は、北海道岩内郡岩内町に位置しています。当院の医療圏は3万人程度であり、入院病棟を持つ唯一の病院です。

令和8年5月17日(日)の夕方、岩内町内上水道の受水口上流の土砂崩れが発生し、それによる河川の汚染が濾過処理能力を上回ってしまい、同日18時より町内完全断水を経験しました。断水決定から2時間程度で完全断水になり、岩内病院でも、断水に対する対策をしなければならなくなりました。

岩内病院には、貯水タンクがあり、満水で90t程度の水を貯めることができます。最初は、満水で2~3日は大丈夫との申し出(当院事務から)がありましたので、まずは、通常どおり使用し、次の日の月曜日の朝に、対策会議を開くこととしました。

■第一回対策会議

まず患者さん対策として、院内で、以下の対策をすることとしました。

*トイレの自動水洗機能を制限
*患者さんの入浴を清拭に変更
*火曜日の透析患者を月曜日に変更し、透析に使用する水を節水
*町に頼んで、給水車による給水の手配
*道庁に依頼して、給水の手配
*町内の透析病院で水が確保できなかった場合の透析患者さんの受け入れの準備

また、家が断水した職員の生活支援として以下のことをしました。

*水の確保と院内施設での入浴許可
*洗濯方法の対策

通常使用でのタンクからの減りが、予想以上に多く、一日当たりの使用量は70t程度と予想されました。これは給水がなければ、二日と持たずに、水が枯渇することを示唆しています。何はともあれ、水の確保が急務となりました。ただし、町は住民の給水にも対応しなければならないため、結局のところ、1日6tしか供給されないことがはっきりとしました。 そこで、以前は使用していた、病院の地下水を再度汲み上げることとしました。汲み上げるためのポンプが古くなり、いつ故障してもおかしくなかったため、町の上水道に切り替えていましたが、不測の事態ですので、保健所に相談し、地下水を汲み上げ、飲料水以外の使用に限定することになりました。とりあえず、ポンプが動く限り、水は潤沢に確保可能となりました。そうして、水が確保できるとなったことで、近隣の透析病院からの透析患者の受け入れも可能となりました。断水が長引けば、町民の給水施設としての役割も果たすつもりで、準備しようと計画していました。

災害時の生活インフラへの備え

そして、完全断水の翌日と翌々、次の対策を決めました。

■月曜日の夕方・第二回対策会議 会議では、町からの給水は6tで1日の使用量に到底間に合わないこと、そのため、地下水を汲み上げていること、水は確保できたが、職員の断水対策は、継続していくことを確認しました。その後、関係各所の尽力により、月曜の21時に断水解除となりました。ただし、土砂崩れが改善したわけではなく、水が綺麗になったため断水解除となっただけでした。今後も、土砂崩れにより、川が濁り再度断水となる可能性は十分あるとのことでした。 汲み上げた地下水は、成分の評価を受け、水曜日には飲料水としても問題ないこととなり、地下水も汲み上げながら通常通り、病院運営を行っています。

■火曜日の朝・第3回対策会議 この対策会議では、今回の対策を時系列に整理し、その対策が妥当だったか改善点があったか、今後まとめていくことを決めました。岩内町からは、再度の断水の可能性があるとの連絡でしたので、なるべく早めに、まとめることとしました。

今回の断水で、病院は、多量の水が必要であることを再認識しました。また、町内だけの断水であるにもかかわらず、災害時に、病院に必要な水を供給することはかなり困難であることも分かりました。そのため、広範な災害時の断水なら、なおさら、水の確保は難しいということになります。

災害時の電気に関して、病院では重油を確保できれば自家発電で賄う体制となっています。水に関しては、運んできてもかなり少ない給水量しか確保できないことが分かりましたので、やはり、地下水の汲み上げを継続できるようにする他はないと考えています。

今後は、災害時の生活インフラ確保の1つとして、水汲みポンプの購入を北海道を含めた自治体と協力して、進めていくつもりです。

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