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運動を通して予防医療の大切さを発信

半井 龍 さん

旭川医科大学医学部

医療系学生インタビュー(30)

獣医の現場で出会った人命を助けたい

―獣医として働いていたそうですが、なぜ医師になろうと思ったのですか?

半井 小動物の動物病院に就職し働いているうちに、人間の治療に関心を抱くようになりました。動物の治療に使う器具や薬は人間と同じですし、自分が人間である以上、人命の価値について考えるようになって……。獣医になって2年目頃に、後ろ髪を引かれながら動物に接している自分に気付いたんです。100%の気持ちで向き合えていないのは犬や猫、オーナーさんにも失礼だと思いました。でもその時は、獣医で上を目指した方が良いのか、遠回りしてでも人間の医療の道を目指した方が良いのか分からなくて……。人生の迷子のような時期でした(笑)。

―その時期はどのくらい続きましたか?

半井 3年くらいです。その頃日記を書いていたのですが、このまま獣医として進もうという気持ちの日もあれば、遠回りしても人命を助けたいと考えている日もあって、日によって変わっていたのが分かります。でも改めて日記を読み返した時に、遠回りしても医者になりたいと思っている自分が、そこにいたんです。そうして国立の医大を目指して勉強を始め、旭川医科大学へ編入できました。今はやりたいこととやるべきことが同じ方向に向いているので、ただただ幸せというか。教育機関で学べる幸せを日々かみしめています。

―今まで影響を受けた方などはいますか?

半井 高校時代の恩師です。先生は「毎日全力で生きていて、いつ死んでもいいように俺は生きているけど、お前はちゃんとそう生きているのか?」と、進路を悩みはじめた僕に言ってくれました。それから、自分がそう生きられるものは何か? と、もっと真剣に考えるようになって、日記を書き始めたんです。恩師は僕が進路を決める前に心筋梗塞で亡くなってしまいましたが、次の世代にも伝えていきたい大事な言葉です。

―今はどのような生活サイクルを送っていますか?

半井 朝起きてランニングをして1日のスイッチを入れた後、大学へ行きます。4年生は実習がないので6限まで講義を受けた後は、週に2回、旭川市内の格闘技ジム(以下、HLCジム)でキックボクシングのインストラクターをさせていただいています。格闘技は空手を中学2年生から始めて、獣医学生の頃にキックボクシングを始めました。インストラクターの仕事がない時も、大学やHLCジムから、運動を含めた予防医療の大切さを発信していきたいと思っています。そんな中、有り難いことに、キッククラスの様子をNHK旭川局に取材していただく機会や、旭川市の小学校などで親子レクチャーを担当させていただく機会を頂きました。このような活動を通じて今まで運動に興味を持っていなかった方々が運動を始めるきっかけとなったり、親子で運動する楽しさを共有したりして、その結果、少しでも旭川市全体の健康寿命が延びるということが今一番ワクワクすることというか、一番のモチベーションになっています。

一時的な治療ではなくどのように怪我を予防し付き合っていくか

―将来はどのような医者になりたいですか?

半井 いろいろな病院を見て、人の話を聞いて、自分が考える医師像を形作っていきたいと思っています。一つの方向性として、スポーツの延長線上として整形外科医ですね。スポーツをやっていると、体は消耗品ですし、どうしても怪我をしてしまいます。僕の場合は、右膝の半月板が磨耗し、痛みが出てしまっていたようなのですが、スポーツ専門医のところへ行っても膝局所の画像診断後、薬を処方され、安静にしてくださいで終わってしまいました。でもスポーツをやっている以上、追い込まないと試合には勝てませんし、この膝とどう付き合っていくかが大事なのに……という不満感が残ってしまいました。というのも、膝の痛みの根本の原因は膝局所というよりは、体の使い方に問題があり、そのバランスの悪さが膝の痛みの根本の原因だったからです。それは周りのプロの選手も同じことを言っています。僕はインナーマッスルを鍛えることで、下半身と上半身を連動させることができ、膝の痛みがなくなり劇的に回復しましたし、怪我をする頻度も減りました。

これはスポーツだけに限らず、生活をしていく上でも必要なことだと思います。歳を取れば筋肉や骨、関節が弱っていくのは自然現象ですよね。そのため運動をしなくなって、ある日突然骨折して寝たきりになってしまうというのが、すごく多いです。ですから、そうなる前に予防することが大事だと思います。予防医療を通して、病気になる前の期間をもっと充実させていきたいです。あとは、昔から職人に憧れていたので、形成外科医のマイクロサージャリーなどは、本当に職人技ですごいと思います。二つは全然違う科ですが、どちらにも憧れますね。

―プロスポーツのチームドクターなども考えていますか?

半井 それも夢の一つですね。たくさん勉強をして、どうすれば選手がうまく怪我と付き合っていいパフォーマンスができるようになるか、という点は考えていきたいです。大人になるにつれ世間体や一般常識にとらわれてしまいがちですが、小さい頃に感じたようなワクワクする感覚が一番大切なように思います。その感覚を大切にしながら、これから進む診療科を決めていきたいと思います。

ドクターズプラザ2019年1月号掲載

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