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患者さんたちに近しい看護師

鵜篭 ゆきこ さん

東京女子医科大学看護学部

医療系学生インタビュー(1)

学校にいるだけでは、気付けなかった方向性

人と寄り添って生きて行きたい

―看護師を目指そうと思ったきっかけは何でしょうか。

鵜篭  小さい頃から人のために働きたいと思う気持ちが強かったんです。将来は警察官か医療者、と考えていたのですが、当時は「踊る大捜査線」ブーム。警察官、かっこいいな〜、と(笑)。でも、高校生のとき身長制限があることを知ったんです。

―身長が足りず、必然的に医療者の道へ?

鵜篭  そうですね。それに、高校時代、体調があまりよくない時期があって。保健室に行っても、度重なると「また?」という顔をされる。そのとき、具合の悪いことを理解されない辛さや、一人で抱え込むことの恐さを知りました。きっと、同じように悩んでいる人がいるんじゃないか、自分にできることがあれば手助けをしたいという気持ちが芽生えて……。もともと、友人の相談に乗ることが好きでしたし、親族に医療関係者がいたこともあると思います。より人に近い位置で相談に乗りたい、力になりたい、そんな気持ちから、自然と看護師を目指してみよう、と思うようになりました。

―大学ではどのような勉強をするのでしょうか。

鵜篭  普段は座学が中心ですが、学んだことを生かして、数週間から数カ月実習を行うことがあります。実際に患者さんを一定期間担当させていただいて、情報収集をしたり、それを元にどういうケアが必要かを考えたり、先生や看護師からご指導をいただきながら介入していきます。小児、母性、成人などさまざまな領域を回りますね。

―座学と実習の違いは感じますか?

鵜篭  やはり現場を見てみないと、実際のところは分からないのだと実感しました。頭では分かっていても、いざ患者さんを前にすると体が動かない。情報収集にしても、信頼関係やコミュニケーション能力がないと厳しい部分がありますし……。

―実習中苦労したことは?

鵜篭  人見知りなので、病室に入るときはドアの前で一呼吸おいてから(笑)。ちょっとでも会話に間があくと焦りました。でも、その間が実は、患者さんにとって考える時間になったりするんですよね。それに、看護には正解がないことも痛感しました。調べても分からなかったり、人に相談してもその人によって考え方が違ったり。でもそうして真剣に調べて実践したことは、ものすごく身に付きます。授業で学ぶことって、結局忘れてしまうんです。

―実習で忘れられない出来事はありましたか?

鵜篭  2年生のとき担当した患者さんです。私に何ができるだろうって一生懸命考えたんですが、足浴とか、体を拭くとか、できることって限られているんですよね……。大したことは何もできていないんじゃないかって落ち込むこともあったのですが、実習最終日にお礼のお手紙をいただいたんです。震えた字で、故郷の情景と私の看護を絡めた俳句も添えていただいて……。嬉しくて泣きました。

学外で出会った人生最大の“ご縁”

―学外でも活動されていると聞きましたが?

鵜篭  看護学生って閉鎖的な環境にいるように感じるんです。他の大学の学生が何をやっているのか全く分からない。カリキュラムが忙しいので、それに追われ過ぎてしまうのだと思います。私は入学当初、看護を通して何をやっていきたいのか曖昧で、できるだけたくさんの方と交流して、将来の目標や自分に合う働き方を探していきたいと考えていたので、学生の内からたくさん情報収集できるように外へ繰り出すことにしました。はじめは「ION」という看護学生団体で活動することから始まったのですが、そこで出会った仲間たちは本当に熱く夢を語る人が多くて、最初は「すごいなぁ、みんな」と圧倒されました。もう本当に衝撃です(笑)。そんな仲間たちに囲まれながらイベントを運営したり、自分から他の団体主催のイベントに参加したりするようになり、いろいろな方に出会うことも出来ました。学部問わず同じように学外で活動している学生や、現役の看護師、全国の地域医療に携わるドクター、地域や国を越えて働いている方、医療を学んだ経験を生かして一般企業で働く方まで! 貴重な経験です。社会には本当に様々な考えを持った方がたくさんいて、看護の資格を活かすのにも、多様な道があることを知りました。刺激をたくさんいただいているうちに、だんだん自分の目指したい方向が見えてきました。学校にいるだけでは、絶対に気付けなかったですね。

―その方向性とは?

鵜篭 「地域に携わる」ということです。2年ほど前に「家庭医療学夏期セミナー」というイベントに参加したのですが、そこで「年齢や病気の分野に関係なく、家族や地域を含む患者さんを取り巻く全てを総合的に診ていこうという考え方」に出会いました。家族だけでなく『地域』も診ていくという考え方は当時の私にとって本当に新鮮なもので、とても共感したんです。私は昔、体調を崩し続けていた経験があるので、患者さんが自分の健康について気軽に相談できるような、本当に近しい看護師になりたい、そう強く思っています。ですから、地域に住んでいる方の健康のために自分に何が出来るのか、どんな可能性があるのか、医療の枠にこだわらず幅広い刺激を受け、たくさん考えながら、これからも一歩一歩進んでいけたらと思っています。

ドクターズプラザ2014年5月号掲載

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