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医療の本質は人と人との関わり合い

黒木 平 さん

Medical Future Fes

東京医科歯科大学・医学部医学科

医療系学生インタビュー(16)

 出会いに始まり、出会いに育てられる

小学生の頃に出会った先生が理想像に

――医師になろうと思ったきっかけは何でしょうか?

黒木 小学校の高学年の頃に、交通事故に遭いました。その時にお世話になった先生が親身に治療してくださって、非常に良い経過をたどることができました。人間的な意味で共感できることも多く、その先生が将来の理想像になりました。医師への憧れはそれ以前からありましたが、医師になりたいと最終的に決意したのはそのタイミングだったと思います。実は今でもその先生とは付き合いがあって、鹿児島に帰った時にはご挨拶に行くようにしています。

――学生生活はどのように過ごしていますか?

黒木 現在、Medical Future Fesという医療系学生の団体の代表をしています。平日の9時から17時までは授業があり、夕方以降の時間は団体のミーティング等に追われることが多いです。その他にも、僕は人とお話をするのがすごく好きなので、友だちとご飯に行ったり、お酒を飲んだり、いろんな人と定期的に会うようにしています。週末は学生団体のイベントに行くことが多いです。自分が代表をしている団体もそうですし、人のつながりを広げていくということで、いろんな他の学生団体の活動にも参加しています。

――思い出に残る出会い等はありましたか?

黒木 中学・高校の時にお世話になっていた先生が仰っていたことが印象に残っています。その方は数学の先生で、自分は研究者にはなれなかった。だから数学の先生をやっている。だけど、自分の教え子の中で、この子なら数学の世界で何かやってくれるかもしれない、技術の分野で日本に新しい風を吹き込むかもしれない、そのような芽がいっぱいある。二十年、三十年たった時に、「あいつは俺の教え子なんだ」と友だちに自慢できる、そういうワクワク感というのが教育にはあるのだと仰っていたんです。自分自身でできなくても後世に何かを残す。そういうことってすごく大事だなと。だから僕自身、生きている間に日本の医療をより良くしたいとか、日本の医療制度に一つメスを入れたいとか、そういう気持ちがないとは言いませんが、そうではなくて自分が何か爪痕を一つでも残して、その先にまた何かが生まれる可能性があるだけでも十分、自分の生きた価値があるのかなと思います。

常識を疑う感覚が大事

――黒木さんは人との出会いを大事にされていますね。

黒木 僕はとにかく出会いに始まり、出会いに生かされ、出会いに育てられてきました。自分の力でゼロからのし上がってきたというよりは、人に支えられ、助けられ、ひょんなきっかけからチャンスを頂き、あとはつかむだけだったように思います。自分は本当にラッキーだったなと。環境や親の教育もそうですし、やりたいことと、もともと持っていた能力が一致していたこと、それがとてもラッキーだったと感じています。そのラッキーをいろんな人に分け、それに対する恩返しを少しでもしていけたらいいなと思っています。そして、その先にまた何かラッキーが転がっていれば、それを見逃さないようにしたいです。

――どのような医師になりたいですか?

黒木 医療はどんなに技術が進んでも最終的には人と人の仕事だと思います。臨床で病院に立っていようが、医療行政に関わっていようが、その本質は変わらないと思っています。だから、僕自身が小さい頃に感じた、痛かったり苦しかったりする自分を救ってくれる格好良い存在、自分を親身に診てくれる優しい存在、そういう人間的な部分というのはできるだけなくさないようにしたいです。

――医師を目指す人にアドバイスはありますか?

黒木 厳しい言い方をすれば、今後人口も減っていきますし、医療の市場は間違いなく縮小の方向に進むと思います。機械化も進んでいますし、ますます医療者の出番が減っていくのではないでしょうか。そうなった時に何が求められるのか。どんなに機械が人間の代わりをできると言っても、どこかで人が関わらないとどうしようもない部分があるので、その時に「人の話を聞くだけだったら、カウンセリングの技術があればいいじゃん。医師なんていらないじゃん」と言われないよう、医師自身がもっと人間的な部分に対して敏感になる必要があると思います。知識があるから、資格があるから大丈夫、ではなくて、そこをひと殻破って、どう乗り越え、成長の糧にできるかが大事ではないでしょうか。医療の業界は、技術や知識は高速で発展しているのに、関わっている人間の考え方があまり変わっていない。「その診療、本当にそれでいいの?」と、常識を疑う感覚がとても大事だと思います。

ドクターズプラザ2017年3月号掲載

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