細尾 真奈美 さん

滋賀医科大学医学部医学科6年

2015/11/15

「住民とともにある」医療の姿

  • Medical Future Fes

医療系学生インタビュー(8)

地元の人に望まれた形で、地域の活性化に貢献したい

シンガポールでの悔しい思い

―医師になろうと思ったきっかけは何ですか?

細尾 16歳の時に『進化しすぎた脳』という本を読んで、人間の脳の仕組みや、それによって感情が左右されることを興味深く思いました。それで脳科学が勉強できる学部を探したのですが、ほとんど物理系で完全に研究者コースだったので、もう少し人と関わる仕事をしたいと思って医学部を志望しました。

―ご家族に医師等がいたというわけではないのですね?

細尾 はい。実家は京都西陣の呉服屋で、医療とは全く縁のない仕事をしています。

―どのような学生生活を送っていますか?

細尾 最近はあまり授業がないので、自分のペースで勉強しています。少し前までは病院実習があったので、朝早くに家を出て、学校の病院で実習し、患者さんの診察をさせていただいていました。あとはミニレクチャーを受けて、だいたい夕方の4時か5時くらいに終わり、アルバイトに行って、帰って、という生活でした。

―医学部以外や他大学の学生との交流などもされているのですか?

細尾 「Medical Future Fes」という医療系学生向けのイベント運営をしています。今年は医療に興味のある一般の方に向けた「日本橋MedicalInnovators Summit」というイベントの企画運営もさせていただきました。どちらも講演会形式のイベントで、医療分野での先進的な取り組みをもっと多くの方に知ってもらいたく思い、運営に関わっています。

―記憶に残るような出来事はありましたか?

細尾 この間まで留学でシンガポールの病院に1カ月半ほどいたのですが、向こうの医学生は日本と違って、英語で教育を受けてきていているんですね。私たち日本人は、知識はあるのですが、語学力が足りないので、向こうの先生たちからあまり出来が良くないと思われている節があって、それが悔しいと思いました。 また、英語ができることで世界の幅が広がるということを実感したので、次のステップとして、医学英語をきちんと勉強して、実際にアメリカで働くかどうかは別ですが、アメリカの医師国家試験を取りたいと思っています。

―将来は何科に行きたいと考えていますか?

細尾 消化器内科に興味があります。もともと食べることが好きで、食生活と健康がつながっていて、食生活を指導することで人の健康が変わるというところにすごく興味があるので。内視鏡を使えるのも楽しそうですし、将来は地元で開業したいこともあって、今のところ消化器内科を考えています。

地元の西陣地区で開業したい

―最終的には地元に戻って開業したいですか?

細尾 開業したいです。地元の京都・西陣地区が、日本の地域医療の草分けと言われている場所なんです。早川一光先生という、西陣で地域医療をされてきた先生がいらっしゃって、その先生と最近知り合う機会がありました。昔の西陣の人たちは貧しくて、呉服の仕事をしている下請けの職人さんたちは大きな呉服屋さんから仕事を受けて、家で機を織っていました。自分が織った分だけがお金になるので働き過ぎてしまい、衛生環境が悪いこともあって身体を悪くしがちでしたが、あまりお金がないから医者にかかれない。そういう人たちに対して医療を提供するということを、その先生が始められたんです。住民の方から「作りたいのでやってもらえませんか」と言われて、診療所を作りました。そのように、住民と一緒にある医療という姿を、その先生から学びました。

―医師不足を解消するために、女性医師をどう活用するかという話もありますね。

細尾 ちょうどそのテーマで作文を書かせていただいたことがありました。愛媛県西予市に、シーボルトの娘さんのおイネさんという方のお名前を冠した『おイネ賞』という賞があって、「女性医師(女子医学生)が思うワークライフバランス」という題で懸賞作文を書きました。その時に学生の部で最優秀賞を頂いたのですが、その作文がきっかけで女性医師の活用について勉強しました。

―女性医師の働く環境については実際にどう思いますか?

細尾 働く診療科や、誰が配偶者かというのも大きく影響すると思いますね。配偶者が医師の場合、お互いに忙しいので家事を外注するしかなくなりますし、それを許してくれたらいいのですが、女性の方でも「自分が家のことをやらなきゃ」という気持ちが強い人はお仕事を辞めてしまいますよね。もっと適当でいいのにな、と正直に思います。

―将来はどんな医師になりたいですか?

細尾 先ほどお話させていただいた早川先生が、「住民とともに」ということをずっとおっしゃっていて、今後どういう形で自分が開業していくか分からないのですが、やっぱり地元の人に望まれた形でないと駄目だなと思います。住民の人と一緒に、地域の活性化に貢献できるような、地域の中で溶け込んでやっていけるお医者さんになりたいなと考えています。