Vol.146 2018年9月号

川柳の魅力

江畑 哲男 さん

(一社)全日本川柳協会理事、獨協大学オープンカレッジ講師


本欄に目を留めていただいたアナタ! ありがとうございます。
連載が始まったばかりの川柳欄に、いま一度ご注目ください。「川柳の魅力」をこれからやさしく解説してまいります。
読むだけでも楽しいのが川柳。
読んでみたら、自分でも創ってみたくなってしまう、それが川柳です。
でも自分で創ってみると、案外難しいことに気が付きます。川柳の基本は、五七五のリズムだけ。俳句のように、季語や切れ字は要りません。文語を使う必要もなく、口語(日常の言葉)で表現をします。創ってみるとけっこう難しいのですが、逆にできた時の喜びはひとしお。自分の気持ちを上手に言い表せた時の喜びって、なかなかのものですよ。創ったことのある人にしか分かりません。
そう、川柳は読んで楽しみ、創って楽しむ、そんな創作文芸なのです。

川柳、四つの魅力

「川柳の魅力」を、改めて左記の四つに整理してみました。
① 紙と鉛筆があれば誰でもができます。いつでも・どこでも・どなたもが楽しめます。体力や多くの費用を必要としません。
② 年齢に関係なく楽しめます。老若男女にかかわらず楽しめますから、「人生一〇〇歳時代」にぴったりの文芸でしょう。
③ 自己表現の喜びを感じることができます。五七五のリズムに乗せて、まずは自分の心とじっくりお話しをしてみることをお勧めします。
④ 川柳を創るようになると、日常生活の中に「発見」が多くなります。「おや」「あれっ?」「ナルホド」といった発見や感慨が増えてくるのです。生活に張り合いが持てるようになること、請け合いです。
如何ですか?
では、投句者の皆さんとご一緒に川柳作品を鑑賞してまいります。
まずは、佳作のご紹介から。

用件を忘れないのはトイレだけ (安田蝸牛)
うちの父2本の杖で二刀流 (しゃりべん太郎)
敵も味方もエラーを笑う草野球 (竹澤聡)
怒る老い血圧だけで終わらない (中込悟)
母の味食欲までも里帰り    (見澤富子)
診察券入れて開かぬ改札機  (ポンタロウ)
どうせなら動画見ながらスクワット ( アッサム)
万歩計付けた時だけ遠回り  (尾池辰生)

Vol.146
ベスト作品

  • 天命に

    逆らう抗癌剤

    投与

    牛美

  • 有り難い

    親です時に

    重いです

    田口節子

  • 食事情

    検査結果に

    見抜かれる

    ぷーちゃん

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