Vol.145 2018年5月号

改めて、川柳とは?

江畑 哲男 さん

(一社)全日本川柳協会理事、獨協大学オープンカレッジ講師

川柳、基本のキ⑷

今月も投句ありがとうございます。
投句はドンドンしてください。お待ちしています。投句をしているうちに、“感覚”がつかめてきます。そういうものなのです。そうした感覚をまずは大事にしましょう。
自分なりの発見や言いたいことがあって、五七五にまとめてみる。まずは行動(実作)ありき、です。
作っていく過程で感じること。「どうも言葉が適切でない。どうしたら上手に表現できるかなぁ?」。そう、そのテの感覚が大事で、手探り状態で言葉を見つける作業から、作句は始まります。

散文と韻文の違い

一点だけ補足すると、普通の文章(散文)と詩的表現(韻文)は違います。散文は報告、韻文は詩です。詩には心情が含まれます。心情のない作品、作者の思いが伝わらない川柳は残念ながら入選しません。
▷仏壇のお世話続けて早起きに  (あゆか)
→さて、右にどんな心情を盛り込みましょか? 例えば、「仏壇のお世話で朝が忙しい」とか。

▷我が家では米寿が白寿祝います (しゃりべん太郎)
→常連さんの投句です。しかし、このままだと散文的。「我が家では米寿に白寿祝われる」と受け身形にしてみましょうか。すこーし違ってきませんか?

▷胃カメラで証明された自慢の胃(志村伊和男)
→原句は「胃カメラで」でしたが、「胃カメラに」とすると韻文らしくなります。

▷女子会の話題恋から健康に (ぷーちゃん)
→やや報告的ですが、心情は伝わります。

▷いつ着るの痩せたら着ると捨てられぬ (猫妻)
→さらに結構です。下五の「捨てられぬ」が効いております。

▷着ぶくれと言い訳できぬ春になり (佐藤しほ)
→これまた結構でしょう。「言い訳できぬ」で、作者の気持ちが伝わります。

▷禁煙で知りたる妻の隠し味  (安田蝸牛)
→面白いのですが、「知りたる」はいかにも古語然とした単語。ココは、「分かった」ぐらいで如何でしょうか?

▷ベルト穴ひとつの為にウォーキング(ひろぴー)
→作者の思いは「ひとつの為に」にあり。

▷長生きの秘訣は本人さえ知らず(西島大貴)
→「秘訣は本人」は8音になってリズムを壊しています。「は」を取って、「長生きの秘訣本人さえ知らず」と、リズムを整えましょう。

では、ベスト3作品を発表します。ベスト3作品はそれぞれ見事。それぞれの心情をしっかり読みとってください。

Vol.145
ベスト作品

  • 入試ミス

    散ったサクラが

    返り咲く

    ひろあき

  • 旅支度

    鞄の中は

    もう現地

    三宅亜紀

  • 長寿より

    インスタよりも

    甘いもの

    松崎夏海