Vol.140 2017年7月号
日本語は面白い
江畑 哲男 さん
(一社)全日本川柳協会理事、早稲田大学オープンカレッジ講師
おもしろ日本語の発見6
相手の主張がたとえ的外れであっても、「全く違います」とは普通言わない。「的外れ」と思いながらも、「ちょっと違います」という言い方を日本人はよくする。「ちょっと」の違いではない、にもかかわらず。では、どうしてこのような言い回しになるのだろうか?
一言で説明するならば「対人配慮」。相手を傷つけない、相手の立場を慮っての表現なのである。
お客さんはこちらなのに、係の人に「お忙しいところ、すみません」などと呼びかける。別に謝っている訳ではない。しかしながら、上のような言葉遣いや態度が身に付いている。私たち日本人は、このような言語環境の中で日々暮らしているのである。
筆者も言おう。前置きが長くて、すみません(笑)と。
さて、投句拝見。200人以上、500句を越える作品が、毎回寄せられている。感謝。
まずは、佳作の作品から。
▷ダイエット痩せ過ぎなのも危険です(ジンくん。)
▷健康を気にするあまり胃が痛む(のんママ)
▷我の肩鎧兜を着けたよう (陽気爺)
▷味噌汁の塩分恋し高血圧 (井の頭健太)
▷病気自慢「大丈夫?」から「私も」へ(吉澤瑠美)
▷忙しい自分に酔ってた30代(川井華代)
▷金なくて健康だけを自慢する(チー君2世)
▷育児中必要なのは体力だ (福富いづみ)
▷頑張ってダイエットしてしわ増えて(him8btnm)
▷これいいよ何にいいのか忘れてる(赤瀬さおり)
▷聴こえるが耳は聞こえぬフリをする(もりあいわ)
▷よく食べてよく寝て少しだけ動き(竹澤聡)
以下三句は、もう一歩でした。
▷アウトドア目指すわりには家にいる(つぐみ)
▷孫3才一緒に歩いて若返る (高橋郁子)
▷薄味と腹八分目に悲鳴上げ (牛美)
Vol.140の
ベスト作品
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◎トップ賞
秒針の
速さに負ける
定年後
タヌキ
-
膝腰に
了解とって
ウォーキング
つぼさんご
-
美貌より
嫁に求める
健康美
ぽてママ