Vol.124 2014年11月号
川柳の発想法 その4
江畑 哲男 さん
(一社)全日本川柳協会常任幹事、早稲田大学オープンカレッジ講師
先輩の作品から学ぼう
発想法の四回目。
今回は、先輩の作品から学ぶことにいたしましょう。
ユーモア作品の発想
私の主宰する川柳会では、過日「教養」という題を句会で出しました。「教養」というテーマで川柳を作って貰ったのです。
「教養」とは、「学問、知識などによって養われた品位」(『日本国語大辞典』)という意味です。従ってさぞおカタイ作品ばかりが集まるかと思いきや、全く逆でした。楽しい作品が数多く集まりました。例えば下記のように。
学識が高くて狭くなる世間 (宮本次雄)
教養を磨くと酒が不味くなる (中澤巌)
お分かりでしょうか。
前者は「学識が高くなると世間が見えなくなるんじゃないか」という穿ち、です。後者は「酒を飲む時くらい難しい話はゴメンだぜ」という本音、でした。こんな風に川柳人は詠んでくれちゃうのですね。こうした発想はぜひ学びたいもの。とりわけ後者作品の、「教養を磨くと」の「磨くと」がミソで、熟練作家の上手な川柳的言い回しにご注目ください。
教養があるが嫁には向いてない (河野桃葉)
人格者末摘花を読んでいる (北山蕗子)
いやはや参りました。嫁というのは、教養があると困る存在なのでしょうか? 『末摘花』を読んでいる人格者!というのも、ユニークな発見でした。多少フィクションが混じっているかも知れませんが。
教養って怖い他人の目が光る (伊藤春恵)
この句には、人間観察の鋭さを感じます。自身の教養の度合いが推し測られるように、他人様の視線が鋭く光っているというのですから。
ITの裏ではびこる怖い知恵 (折原あつじ)
一種の文明批評です。教養という文字は使用していませんが、IT社会の裏側で知能を悪用する輩への批判です。如何ですか。川柳の力、川柳を作る人の発想力って、改めてスゴイものですね。
さて、入選一歩手前の作品からご紹介します。
▷定年後思いきり行く一人旅(北原明良)
▷量よりも質のバランス料理とる(しむらむし)
▷健康へ無理に笑っている暑さ (竹澤聡)
▷若作りしても小石に蹴つまずく(マエダチフミ)
▷太りすぎメタボの医者に叱られる(たかさま)
Vol.124の
ベスト作品
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◎トップ賞
元気よく
地球を踏んで
ウォーキング
原田祥二郎
-
忘却が
記憶速度を
上回り
あすなろ
-
立ったまま
靴下を履き
まだ元気
一湖