2019

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~薬の剤形と服用方法~使いやすさと持続性を重視したテープ剤やパッチ剤もある

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小黒 佳世子
『薬剤師のお仕事』『小黒先生の薬の話Q&A』連載
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2012年12月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(9)

飲み薬の種類(錠剤、散剤、カプセル剤など)

Q1)飲み薬には、なぜ錠剤や粉薬があるのですか?

A1)

いろいろな剤形があるのは、患者様の利便性を図る目的と、薬の欠点をカバーする目的があります。

内服薬に多く使われている錠剤は、散剤に比べて扱いやすいのが特徴です。錠剤を固形化しただけの裸錠のほかに、糖衣錠・フィルムコーティング錠など、薬剤の強い臭いや苦みをコーティングして服用時に感じないような工夫のある錠剤もあります。最近多く使用されている口腔内崩壊錠とは、口の中でラムネの様に溶けていく水なしで服用できる錠剤のことです。oral dispersing tablet を略して薬剤名の後に「OD錠」「D錠」と付いているものが多く、嚥下障害のある高齢者に服用しやすく。水にもすぐ溶けるので、胃瘻時に薬剤を溶かして注入する際にも便利です。

カプセル剤(硬カプセル剤)は、カプセルに散剤を充填するだけで服用しやすい形にすることができ、苦みも軽減できるということで古くから使われております。カプセルはゼラチンで作られており、内服用としてだけでなく吸入薬としても使用されています。軟らかい軟カプセルは、脂溶性のビタミンEやビタミンD製剤、EPA、DHA製剤等に適しており、苦みだけでなく臭いが漏れにくいという特徴もあります。

小児に多く使われる散剤は、秤量する量によって容量の調節がしやすいというメリットがあります。個々の体重や症状に見合った薬剤量を正確に福与いうしていただくことが可能です。小児だけでなく、高齢者の個々の薬の代謝機能に配慮した薬剤量の服用が可能になる剤形ともいえるでしょう。また、散剤は一般的に早く効果が出るという特徴もあります。苦味を軽減した細粒やドライシロップもあります。

最近では服用しやすさを重視したゼリー剤やフィルム剤、使いやすさと持続性を重視したテープ剤やパッチ剤もあります。服用している薬が、患者様それぞれの状態に合わせた剤形になっているか、薬剤師にご相談ください。

薬の服用について

Q2)薬の服用を忘れたら、次の時に2回分服用してもいいですか?

A2)

まず、薬の服用を忘れたことに気が付いた時間をチェックしてください。一般的には、服用する時間からあまり経過していない時には気が付いた時にすぐに服用して構いませんが、次の服用時間が近い時には、忘れた分は諦めて、次に2回分を一度に服用するようなことは絶対にしないでください。例えば、1日1回服用の血圧の薬等は、お昼過ぎくらいまでなら気が付いた時に服用して構いませんが、夜になって気が付いた時には翌朝まで服用せず、次の日の朝に1回量を服用します。

お薬の種類によっては気が付いた時にすぐに服用してはいけない薬もあります。食事の前後に服用する糖尿病の薬は、空腹時に服用して低血糖を起こす危険があります。また就寝前の睡眠導入剤や安定剤を、夜明けに目覚めた時や朝に服用すると、眠気やふらつき、転倒の可能性が高くなります。

なお、鎮痛剤などの様に、ただ症状を軽くするためだけの治療薬で、次の服用時間が迫っていて、それまで待つことによって症状が悪化するようなら、すぐに服用して構いません。その際には次の服用まで一定時間以上空ける必要があります。循環器系の疾患や生活習慣病の薬では、症状が安定していれば、1回くらい服用を忘れても、すぐに体調変化が現れることはありません。服用を忘れた時には、慌てずに薬剤師に相談しましょう。

 

 

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