2013

02/15

花粉症

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス 取締役、株式会社ファーマ・プラス 取締役、一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2013年2月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(11)

花粉の多い季節を快適に過ごすために

抗アレルギー剤

Q1 花粉症の薬は1月くらいから飲み始めるのが良いと言われますが、何故ですか?

A1

花粉症は、花粉をくしゃみや鼻水、涙によって体の外に出そうとする防御反応の一つです。初期症状は風邪と類似しており、ひどくなると微熱を伴う場合もあります。体内では、異物である花粉に反応して抗原抗体反応が起こり、細胞から細胞への情報伝達の役割をもつケミカルメディエーターという化学物質が遊離されます。ケミカルメディエーターには、皆さんがよく耳にされるヒスタミンの他に様々な種類があり、花粉症に使用される抗アレルギー剤は、これらケミカルメディエーターの遊離を抑えて効果を現します。

花粉症の症状がひどくなってから薬を服用すると、眠気や口渇の副作用が強い第一世代の抗ヒスタミン剤や、ステロイド剤を服用しなければならない場合もあります。花粉が飛散する2週間ほど前から抗アレルギー剤を服用しておくと、花粉に対するアレルギー反応が抑えられている為に症状が出にくくなるのです。また、鼻や眼の粘膜の炎症がひどくなる前に薬を使用する事で炎症も軽く抑えられます。

日本で最も多い花粉症の原因となるスギ花粉は、例年2月10日前後から飛散します。毎年花粉症になる方は1月下旬から薬を服用しておくと、持続性があって副作用の少ない抗アレルギー剤で予防することができ、日常生活に支障なく過ごす事ができるのです。

花粉症の予防

Q2 今まで花粉症になった事がありませんが、予防した方が良いですか?

A2

花粉が鼻や目、口から体内に侵入すると、花粉に対する防御反応が働いて、ヒスタミン等のケミカルメディエーターを産生する可能性が高くなります。この反応が繰り返し行われるうちに花粉が異物として体内に記憶され、再び花粉と出会ったとき、それを排除しようとすぐにケミカルメディエーターが遊離されるようになります。これまで軽症で、花粉症であることが気が付かなかった方が、急に花粉症になるのはこのためです。花粉になるべく接しないことは、花粉症にならないためにも重要な予防方法です。

マスクやメガネは、吸い込む花粉の量を3分の1から6分の1に減らす効果があるといわれています。花粉症の方は賞状を遅らせたり、軽くする効果がありますし、花粉症でない方には発症しないために予防することが期待できます。

また、外出から帰ったらうがいをすることも効果があります。鼻の粘膜には線毛があり、粘膜の上の異物を輸送しますが、「うがい」は喉に流れた花粉を除去することができます。最近は鼻や眼を洗う方も多いようですが、水道水ではかえって粘膜を痛めてしまう場合もあるので、体温程度の生理食塩水を使用すると良いでしょう。

市販薬について

Q3 花粉症で市販の薬を服用していますが、医者にかかった方が良いですか?

A3

花粉症は生死にかかわる病気ではありませんが、症状が悪化すると仕事や勉強に大きく影響をもたらします。

薬局で購入出来るOTC医薬品にも、多くの抗アレルギー薬が発売されています。以前のOTC医薬品の抗アレルギー薬には、すぐに症状が治まる第1世代抗ヒスタミン剤が多く、眠気や口喝の副作用の発現率も高かったのですが、近年、医療用として使用されてきた眠気の少ない抗アレルギー剤がOTC医薬品(スイッチOTC)として発売され、医師に受診しなくても購入出来るようになりました。アレジオン(塩酸エピナスチン)やアレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)は、眠気も少なく効果の高いスイッチOTCです。

医師に受診する時間がない時や、OTC医薬品の服用で十分に症状が緩和できて日常生活に支障を来さないのであれば、それでも良いでしょう。他に服用している薬がある方や、病気で通院している方は、購入の際に必ず薬剤師に伝えて下さい。

 

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