2026

10/03

改めて知っておきたい「介護保険の利用手順と介護サービスの種類」

  • 介護

川内 潤
NPO法人となりのかいご・代表理事

隣の介護(45)

夏季休暇で離れて暮らす親と久しぶりに一緒に過ごして、「あれ?」と思ったことが増えた方もいらっしゃるのではないでしょうか? そこで今回は、改めて、介護保険を利用するための手順や介護サービスについてまとめてみました。

改めて「介護保険」とは

介護保険制度は、日々の生活に介護が必要となったときに、介護サービスなどの費用を保障してくれるものです。2000年4月に始まった制度で、40歳になると加入が義務となる公的保険制度です。

必要な介護サービスが1~3割負担(所得による)で利用できます。介護保険サービスを利用するには、市区町村に要介護認定の申請を行い、要支援・要介護の認定を受ける必要があります。原則65歳以上の高齢者が対象ですが、40歳以上の方でも、加齢に伴うさまざまな疾病(若年性認知症、脳梗塞など)に該当すれば、介護認定を受けて介護サービスを利用することができます。

介護保険を利用するための手順

介護保険を使った介護サービスを受けるには、介護認定を受ける必要があります。下記(「3.地域包括支援センターとは」参照)のように申請から介護度が決定される通知が届くまで、約1カ月~1カ月半かかるので、早めの申請をお勧めしています。

申請のタイミングや申請の仕方の解説などを受けるためにも、次で説明する親が住む地域の「地域包括支援センター」に相談してみてください。遠方の場合や時間が合わないときは、電話で相談することもできます。

地域包括支援センターとは

日本全国各地の人口3万人に1つ設置されている地域の高齢者のよろず相談所(無料)です。

介護保険申請をして要支援1・要支援2と判定された場合は、地域包括支援センターが介護サービスの調整をしてくれます。要介護1~5はケアマネジャーにケアプランを作成してもらい介護サービスを利用しますが、介護保険サービス以外の地域のサービス、成年後見制度の利用、ケアマネジャーを変更したいときなど、さまざまな相談に乗ってくれます。

地域で活動するボランティアや自治会や民生員とのネットワークがあり、要介護認定で自立(非該当)と判定された元気な方も含めて、地域の高齢者の支援も行っています。

介護保険により受けることができるサービス

①プロが自宅を訪問する

◇訪問介護(ホームヘルプ)

ホームヘルパーが自宅を訪問して、身体介護や生活支援を行う。デイサービスの送り出し・帰宅時の手伝いにも利用できる。

◇訪問看護

看護師・保健師などが主治医の指示の下、自宅を訪問して症状のチェック、床ずれの処置、経管栄養のチューブなどの管理、入浴、食事介助などの身体介護、リハビリ、ターミナルケアといった療養生活の支援などが受けられる。

◇訪問リハビリテーション

医師がリハビリの必要性を認めた場合、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問して、日常生活動作の訓練や、摂食嚥下訓練、介助方法の指導などが受けられる。

②通って利用する

◇通所介護(デイサービス)

車での送迎付きでデイサービスセンターに通い、健康チェック、食事の入浴・レクリエーションや趣味の活動などのサービスが受けられる。

◇通所リハビリテーション(デイケア)

車での送迎付きで医療機関のデイケアセンターに通って、食事や入浴などの身体介護・理学療法士や作業療法士、言語聴覚士によるリハビリ・レクリエーションなどが受けられる。デイサービスと比べて、リハビリが中心のため、機能向上をめざす人や医療的な観察が必要な人に向いている。

③自宅の設備を整える

◇住宅改修費の支給、福祉用具レンタル・購入

手すりの設置や段差解消などの住宅改修を行う場合、原則20万円を上限に、自己負担分を除いた額が支給される。杖、車いす、電動ベッドなどの福祉用具のレンタル・購入ができる。

④短期間入所する

◇短期入所生活・療養介護(ショートステイ)

特養や老健などの福祉施設に短期入所し、食事やリハビリなどが受けられる。冠婚葬祭や旅行などで介護ができない時や介護疲れを防ぐために定期的に利用することもできるが、連続して30日を超える利用は、原則として介護保険給付の対象外となるため注意が必要。

⑤通い、訪問、泊まりを組み合わせる

◇小規模多機能型居宅介護

通所介護、訪問介護、ショートステイが一体になった施設サービス。利用者は1つの事業所に登録し、通所を中心に訪問や宿泊を状態や希望に応じて組み合わせ、入浴・排泄・食事などの介護や機能訓練を受けられる。ケアマネジャーはその施設に所属する人の担当となる。

介護施設へ入所する

①特別養護老人ホーム(特養)

生活全般で常時介護が必要な人が入所し「終の棲家」となることが多い。公的な施設で費用を抑えられるため待機者が多く入所まで数カ月~数年待つこともある。入浴・排泄・食事などの介護、日常生活上の機能訓練、健康管理および療養上のサービスが提供される。新規入所は原則として要介護3以上が対象。

②介護老人保健施設(老健)

病院と自宅をつなぐリハビリ施設。医療ケアと生活サービスを合わせて提供。在宅復帰をめざし、数週間から数カ月入所しリハビリを行う。特養に比べ、医師や看護師・リハビリスタッフが多く配置され、利用料金が特養より多少高くなることが多い。

③介護医療院

慢性的に医療のサポートが必要な人が対象。医師や看護師と同時に介護職も配置され、療養上の管理、看護、医療上の管理、看護、医学的管理の下での介護、機能回復訓練などを提供する施設。

④有料老人ホーム

主に民間企業が運営し、自立した高齢者から重度要介護高齢者まで、入居の対象が幅広い。多くは月額料金と入居一時金が必要だが、入居一時金がかからないホームもある。

⑤サービス付き高齢者住宅

バリアフリーの賃貸住宅で安否確認と生活相談を提供する。ヘルパーステーション、デイサービスなどを併設。介護が必要になっても、外部サービスなどを組み合わせながら住み続けられる住まいもある。

⑥グループホーム

認知症高齢者が少人数で共同生活を送りながら認知症ケアを受ける。大半が定員9〜18名の小規模で、看取りケアまで対応するところもある。

制度の目的を理解し、正しく利用するために

介護保険制度の目的は「介護認定をされた方の自立生活を支援する制度」であることを忘れてはいけません。時に、支える家族の安心を優先されてしまうケースが散見されます。また、サービスを使う上で一番大切なことは、「要介護者の自立を支援するために、受ける本人にとってより良いサービスを選ぶ」こと。この介護保険制度の目的と利用する本人にとっても望ましい利用につなげるためにも、ちょっとした変化を感じた早いタイミングで、地域包括支援センターに相談することが重要になります。

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