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「治す」だけでなく「育てる」医療を目指して

森本 健太 さん

IFMSA

筑波大学医学類5年生

医療系学生インタビュー(39)

やりたいことを通した先に

――医師になろうと思ったきっかけは何ですか?

森本 子供の頃から「お医者さんっていう格好いい仕事に就いてみたい」という気持ちはぼんやり持っていました。父が救急の医師をやっていたので、医療の道に興味はあったんです。小学校の頃から合唱をやってい
て、音大への進学も考えたのですが、ピアノが弾けないので諦めて。じゃあ次何やりたい? と思った時に、やっぱりお医者さんになりたいということで医師を目指しました。

――所属している医療系の学生団体IFMSAでは、外務・副代表を務めているとのことですね。どんなお仕事ですか?

森本 外務は、こうして外部の方とお話ししたり、取材を受けたり、SNSを運用したり、メールのやりとりですね。情報発信の大切さに気付いたのは外務を担ってからで、SNSなどで正しい情報を、自分から発信するということの意義を学びました。副代表としては、外部との窓口になることです。企業さんからのイベント運営といったご提案の取り次ぎや、他団体さんとの話し合いへの対応などもします。

――IFMSAではぬいぐるみ病院プロジェクトというものに取り組んでいるそうですが、どういった活動ですか?

森本 「お医者さんごっこ」を通して子供たちに医療に親しんでもらおうという趣旨のプロジェクトです。子供との触れ合い方や、言葉選び、姿勢、説明の仕方とか、そもそもの診察のやり方や保健教育など、さまざまな学びに触れることができました。最初は、筑波大でやっていたつくばぬいぐるみ病院というものに加盟していて、先輩に「ぬいぐるみ病院プロジェクトというところがイベントをやるよ」と誘われて参加したのですが、いつの間にか責任者になり、母体のIFMSAという名前を知ったときは、組織の大きさに呆然としました(笑)。

「健康な人の暮らしを守る」という役割の発見

――医師を目指す上で影響を受けた人はいますか?

森本 つくばぬいぐるみ病院に所属したときと、ぬいぐるみ病院プロジェクトを運営したとき、それぞれ出会いがありました。まず筑波では、私が入部した当時5、6年生だった先輩方の診察能力とコミュニケーション能力、子供に対する接し方に感銘を受けました。その先輩方のように子供と触れ合えるようになりたいと思いながら活動をしていて、今の自分があると思います。

ぬいぐるみ病院プロジェクトでは、先代の委員会の責任者の方に、世界の公衆衛生の考え方を教えていただきました。「治療するだけでなく、健康な人が健康なまま生きられるようアプローチするのもお医者さんの仕事だ」というものです。当時の自分にとっては驚きでした。その方から医師法の第一条について聴いた際も感銘を受けました。医師法の条文に、「医療」の文字は入っているけれど、「治療」の文字は一切入っていないんです。医者の仕事は「治療」ではなく、公衆衛生を司ることなのだと。それまでは治療しかみていなかったのですが、予防や疫学の観点も重要なのだということを教えられました。それまで描いていた医者のイメージと、今描いているものは全く違います。病院で病気を治すというのがそれまでのイメージでしたが、それだけでなく、保健教育やSNSでの情報発信など、予防的な働き掛けも大事になってくるのではと思いましたね。

――小児科の方面に進みたいとのことですが、具体的にどのような医師になりたいですか?

森本 「治す」だけでなく、医療の目線から、元気な子供を元気なまま「育てる」という医者になりたいです。小児科系の病院に進んで治療をするのが主軸になってくると思いますが、それ以外に、例えば学校医や学童での保健教育など、教育系・予防医療系の活動を並行してやっていけたらいいなと。難病の子供や、ハンディがある子供をどのように育てていくかということもお医者さんの腕だと思うんです。一般社会の中で、他の子供たちと比べて制限されないような生活を送ってもらうために、医療の目線から支援できないかなというのはすごく思います。そのためには、その子に対してはもちろん、周りに対するアプローチも必要だと思っていて、周囲の人に保健教育を行ったり、その子をサポートしたりするような仕組みを作っていかないといけない。そういったことのお手伝いをしたいですね。

――最後に、医師を目指す後輩へのメッセージをお願いします。

森本 やりたいことはやった方が良い、ということですかね。自分のやりたいことを抑えてまで他のことをやる必要はないと思うんです。たぶんやる機会はその一瞬しかないので。やりたいことがあるなら、それを口に出して周りの人に伝え、実行できる環境をつくるのが大事だと思います。それこそお医者さんになりたいというのは子供の頃から口に出していましたし、小児科医になりたいというのもずっと言っていて、今その道に進んでいるし。ぬいぐるみ病院に関しても、今自分で本当にやりたい企画を進めているのですが、それもいろんな人に言って、手助けを受けているところです。周囲の人に自分の思いを頑張ってぶつけてみるのが大事じゃないかなと思います。

ドクターズプラザ2020年5月号掲載

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