2026
10/09
子どもとタバコの害
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小児の病気
社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷佐倉市民病院
小児科部長兼臨床研修センター長
小児の病気⑩
若いほど発がん性物質の影響を受けやすい
令和6年の厚生労働省データによりますと、現在習慣的に喫煙している人の割合は男性で24.5%、女性で6.5%であり徐々に減少しています。30年ほど前は男性で約50%、女性は約9%だったため、男性の喫煙割合が顕著に減少しているようです。
タバコの煙には喫煙者が吸い込む主流煙、タバコの先端から立ち昇るやや紫がかった副流煙があり、両者を合わせ環境タバコ煙といいます。環境タバコ煙を吸い込むことを受動喫煙といいます。また髪の毛や衣類、ソファなどに付着した煙成分を吸い込むことを残留受動喫煙といいます。
タバコの煙には5,000種類以上の化学物質が含まれており、200種類以上が有害、60種類以上に発がん性があるといわれています。喫煙により肺がんは4.5倍、喉頭がんは30倍以上増加しますし、がん以外にも歯周病や糖尿病、早産などの健康被害も多くなります。妊婦さん自身の喫煙により早産や低体重児、水頭症や口蓋裂等の胎児疾患リスクが上昇し、また乳児がいる場合は乳幼児突然死を起こす率が7~8倍上昇します。しかし実は母本人が吸わなくても、父や同居家族が喫煙していて母が受動喫煙の状態でもこれらの胎児や乳児へのリスクはほとんど変わらないことはあまり知られていません。換気扇やベランダなどで喫煙したとしても残留受動喫煙の状態になるだけでリスクは変わりません。また空気清浄機を使用したらリスクを軽減できるかというとそうでもありません。空気清浄機で処理できる有害物質は10%程度であり、10日後にはその70%程度が漏れ出るというデータがあります。受動喫煙を防止するには100%全面禁煙しか方法はありません。
子どもたちが受動喫煙したときの影響はどうでしょうか。気管支喘息の再発や重症化、新規発症リスクが上昇、気管支炎や肺炎、中耳炎を起こしやすくなります。精神面においては、IQ低下や自殺企図(自殺したいと思うこと)を4倍程度上昇させてしまいます。また注意欠如や多動を引き起こす率が高くなるなど、受動喫煙環境は子どもたちに何一つ良い影響はありません。
2014年に加熱式や電子タバコ(新型タバコ)が発売になり、その後ある番組での「アイコス芸人」放送前後で、一時喫煙者が増えたことがありましたね。紙巻きタバコから新型タバコに切り替えた方々にアンケートを取ったところ、紙巻きタバコより害が少ないと思った、禁煙する(本数を減らす)ためなどの回答が多かったそうです。紙巻きタバコと新型タバコは同等の健康被害をもたらしますから、しっかりと正しい知識を持っていただきたいと思います。子どもが生まれたから新型タバコに切り替えたという話はよく聞きますが、何の意味もありません。
未成年者が喫煙するとどうなるでしょうか? 細胞が若いほど発がん性物質の影響を受けやすいため将来がんに罹患する危険性が高まります。15歳前後で喫煙を始めた場合、20歳以上で開始した人に比べ肺がん死亡は3倍以上、心血管障害は5倍以上になるといわれています。また全ての年齢で身長が5~10cm低くなり、ある予備校の調査によれば喫煙する生徒は大学合格率が明らかに低くなるそうです。古いデータですが、未成年喫煙者の12%が小学校入学前であり、喫煙動機として両親のマネをする、両親から勧められたなどがアンケート調査で判明しました。
タバコ1箱(20本入り)600円とし、1日1箱吸う人は……吸い終わるのに5分とすると1日100分(1時間40分)の時間と、1年で約20万円以上のお金を使い健康を削っているのです。
さてもう一度、自分のため、家族のため、子どものために現在の環境を再確認してみてください。