2026

07/03

眼の異常を見逃さないために

  • 小児の病気

鈴木 繁
社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷佐倉市民病院
小児科部長兼臨床研修センター長

小児の病気⑨

~3歳児健診における“眼の検査”は、とても大切です~

眼の機能は3歳頃までに発達

市町村が主体となって行う3歳児健診では、身長と体重、言葉の発達、背骨は曲がっていないか(側弯症の有無)、男児であれば陰嚢内に精巣が収まっているかなどの医師診察、歯科医による口腔内診察、保健師からの育児相談などに加え、視力検査を必ず行います。自治体によっては屈折検査や視能訓練士の介入なども行い、眼の異常をこの時期に発見し治療に繋げる取り組みをしています。

3歳になると言語発達も進み、自分の意思表出がある程度可能になり、診察においては痛みの場所なども正確に表現できるようになってきますが、物の見え方については表現することができません。片方の視力がかなり落ちていても健眼で補いますし(不同視弱視)、大人では物が2つに見える斜視でも子どもでは片方の像を遮断(抑制)という脳の働きにより生活には支障が出ない状況を作ります(斜視弱視)。弱視という言葉は眼鏡などでも矯正が不可能な低視力をいう場合が多く、子どもの50人に1人の割合で起こるとされています。

ではなぜ3歳児健診で眼の検査が大切なのでしょうか?

子どもの眼の機能は3歳ころまでに急速に発達し、小学校低学年くらいで大人と同等になります。言い換えると物を見る領域の脳の発達が8歳くらいで完了するということです。3歳児健診で眼の異常が見逃されると治療が遅れ、大人になっても十分な視力が得られない可能性が高くなります。高度な両眼視力の低下は日常生活で気付かれることもありますが、屈折異常や弱視(特に片方だけ)は日常生活での発見が困難ですので、検査が必要になります。3歳で弱視が発見できれば、適切な治療により8歳くらいまでに視力を回復させることができます。

検査ができない子どもほど眼の異常の割合が高い!?

最近は3歳児健診だけでなく、乳幼児健診においてもスポットビジョンスクリーナー(SVS)などを使用した屈折検査を導入する施設が増えてきました。眼から光が入り、眼の奥にある中心窩と呼ばれる場所にしっかりと像を結んでいるかという検査が屈折検査です。健診会場での眼科健診では、最初に屈折検査を行い異常値が出た場合は、視力検査を実施する前に医師診察や保健師指導を受け、眼科精密検査に繋ぐという流れが多いと思います。ただし屈折検査は視力を判定するものではないため、屈折検査で異常がない場合でも必ず視力検査は必要です。屈折異常以外の視力低下を判定することができないからです。

集団健診の前に自宅で視力検査を行いますが、集中できずじっとしていられなかったり、固視(同じ場所をある程度の時間、見つめること)ができないお子さまもいらっしゃるでしょう。その時の気分もあるかもしれませんが、もし多動傾向や自閉スペクトラム症などの神経発達症を疑われているお子さまの場合、30.7%の割合で屈折異常が認められるという研究があります。すなわち、検査ができない子ほど眼の異常が隠れている割合が高くなるのです。

健診で検査ができなかったからそのまま経過観察をするのではなく、検査が上手にできなかったお子さまについては必ず直接眼科を受診していただき、眼の異常がないか検査を受けてください。

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