2026
04/06
在宅医療と各種訪問サービス
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在宅医療
院長
梅野 福太郎
在宅医療(13)
自分一人での外出や通院が困難な状況になっても、住み慣れた自宅で自分らしく療養を続けたい方にとって、専門スタッフが自宅を訪れてくれる「訪問サービス」は、生活を支える大きな柱となります。多職種が連携することで、自宅を病院や施設に負けない、いやそれ以上の“安心”の場に変えることができます。
ここでは、主な訪問サービスの内容について詳しく解説してみます。
医療保険を活用したサービス
訪問診療
医師が自宅を訪問し、診察、処方、検査などを行います。
・訪問診療:計画的、定期的に(例:月1~2回など)自宅を訪問し、継続的な健康管理を行います。
・往診:急な発熱や体調悪化の際に、要請に応じて臨時で訪問します。自宅で点滴加療を行うこともあれば、病院への救急搬送が必要な場合は病院の調整も行います。
訪問歯科診療
・歯科医師 : 虫歯や歯周病の治療、入れ歯の作製・調整、誤嚥(ごえん)性肺炎の予防指導などを行います。舌を噛んで、出血が止まらない時に緊急対応し縫合してもらうこともあります。入れ歯や歯周病治療で認知症予防にもつながるといわれています。
・歯科衛生士 : 専門的な口腔清掃・ケア、口の筋力トレーニング(リハビリ)、食事の飲み込みに関するアドバイスを行います。口腔ケアは誤嚥性肺炎のリスクとの関連が深く大切です。
訪問マッサージ
あん摩マッサージ指圧師などが訪問します。主に筋肉の麻痺や関節の拘縮(こうしゅく)がある方に対し、血行促進や痛みの緩和を目的とした施術を行います。
介護保険を活用したサービス
訪問看護
看護師が主治医の指示に基づき訪問します。バイタルチェック(血圧・体温測定)だけでなく、点滴、褥瘡(床ずれ)の処置、カテーテル管理、終末期のターミナルケアなどのケアを自宅で提供します。ご家族への介護指導も重要な役割で、医療処置だけではなく、生活上の指導も兼ね備えて、医療と介護の橋渡し役でもあります。また24時間365日の緊急対応をする事業所が多く、例えばベッドから落ちて起き上がれなくなった場合に、その移動サポートを緊急対応することもあるなど在宅療養のキーマンともいえます。
*がんの末期など医療保険で介入するケースもあります。
訪問リハビリテーション
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が自宅を訪問します。単なる筋力トレーニングにとどまらず、実際の生活環境(段差や手すりの位置)に合わせた歩行訓練、手に麻痺があっても食事を取るためのスプーンなど扱うトレーニング、食事を飲み込むための嚥下(えんげ)トレーニング、関節が固まらないための運動などニーズに合わせて多様なトレーニングを行います。また麻痺がある場合は関節拘縮予防のマッサージを行うこともあります。
*がんの末期など医療保険で介入するケースもあります。
訪問介護
介護福祉士やホームヘルパーが訪問し、以下の2種類の援助を行います。
・身体介護:食事、入浴、排泄、着替え、おむつ交換などの直接的な介助。
・生活援助:掃除、洗濯、調理、買い物など、日常生活のサポート。
非常に有用なサービスですが、同居家族の有無や身体状況で希望があっても導入できないこともあるので、ケアマネジャーとご相談ください。
訪問入浴
寝たきりなどで自宅の浴槽での入浴が困難な方に、移動式浴槽を積んだ車でスタッフが訪問します。看護師1名を含む3名体制が一般的で、バイタルチェックを行いながら全身浴を提供します。心身の清潔保持だけでなく、お風呂が好きな方にとっては、極上のリラックスタイムになっているようです。
訪問薬剤
薬剤師が自宅を訪問し、お薬のセット、服薬状況の確認、飲み合わせのチェックを行います。「薬が多過ぎて管理できない」「飲み込みにくい」といった相談に対し、一包化(1回分を1袋にまとめる)や1週間ごとのお薬カレンダーの設置、剤形の変更を医師に提案して実施してくれます。
訪問栄養指導
管理栄養士が訪問し、病状に合わせた食事の献立作成や、自宅で用意できる食材での調理方法の具体的なアドバイスを行います。「低栄養状態の改善」や「糖尿病・腎臓病の食事制限」など。嚥下低下(飲み込みが落ちた)の方に対して嚥下食や、がんの末期の方への“最期の一口”を提供することもあります。
ケアプラン(介護保険)を作成し、医療とのパイプ役である司令塔としてのケアマネジャー
多様な訪問サービスをパズルのように組み合わせ、その人に最適な「ケアプラン(居宅サービス計画書)」を作成するのがケアマネジャー(介護支援専門員)です。
ケアマネジャーの主な役割
・相談と評価(アセスメント): 本人や家族の希望、困りごとを詳しく聞き取り、現状を分析します。
・プラン作成: 「どのサービスを、週に何回利用するか」を調整し、計画書を作成します。
・連絡・調整: 医師、看護師、ヘルパーなど、関わる全ての職種間の連絡役(ハブ)となります。
・モニタリング: サービス開始後も定期的に自宅を訪問し、プランが合っているか、状況が変わっていないかを確認します。
ケアプランは、本人の意向や日常生活動作(ADL)、疾患の状態を鑑みて作成されます。作成後も、状況の変化に応じて定期的に見直しを行うことで、常に内容を最適化していきます。まずは難しく考え過ぎず、積極的に活用してみましょう。