2019/01/10

食事と栄養の取り方で免疫力をアップさせ、風邪を予防しよう

冬こそ食べたい旬のもの

いよいよ本格的な寒さを迎える季節。寒さが苦手な人にとって、冬はつらい季節といえますが、冬こそ体を温めて、守ってくれる食べ物と食べ方があります。それは冬が旬の食べ物。旬といわれても、今は一年中出回っているものも多くあり、いつが旬なのか分からないという人も多いかもしれません。けれども、自然の摂理に沿って季節が作り出してくれる旬の味は生命力に溢れ、体に必要な栄養価も高く、また大量に出回ることから価格も安くなるのが良いところ。食べ物の旬を知っておくのはやはり得策です。冬が旬の魚と野菜についてご紹介します。

寒い冬の海で獲れる魚は脂がのって、旨みも断然増して、おいしい魚たちが勢揃いします。タラやフグ、アンコウ、ブリなどが旬を迎え、カキやズワイガニなど鍋物にも最適な魚介類が豊富です。魚介類には良質のたんぱく質以外にも多くの栄養素が含まれています。それらの栄養を無駄なく取るように昔から日本人は魚を丸ごと食べ尽くす工夫をしてきました。魚の中骨やアラも栄養の宝庫で、それらを加えた魚汁や鍋物は栄養に加えて、旨味も強くなります。

タラは低カロリーながらたんぱく質の含有量が高い魚。脂質が少ないので消化吸収が良く、赤ちゃんから高齢者、そして病中病後の体力回復にももってこいのもの。山形の「どんがら汁」は新鮮なタラを一匹まるごと使って作る郷土料理ですが、どんがらとは魚の中骨やあら、内臓のことを言います。「身よりうまいどんがら」という言葉もあるくらいにこの汁から頂くおいしさと栄養は体を潤してくれます。

野菜

冬野菜は寒さの中でじっくりゆっくりと育つため、甘味が増して、栄養価が凝縮されています。にんじん、かぶや大根、長芋などの根菜類、ほうれん草や小松菜などの青菜類、そして白菜やブロッコリー、ねぎなどがあります。にんじんにはビタミンAに変わるβ −カロテンが多く含まれ、粘膜分泌を高め、風邪の感染症に対する抵抗力を上げてくれます。にんじんの皮部分の細胞には中心部の2.5倍ものβ −カロテンがあり、ポリフェノールも4倍含まれているので皮ごと食べるか、ごく薄く皮を剥くのがおすすめです。そして、ビタミンAは脂溶性ビタミンなので油で炒めたり、ドレッシングなどを使用すると吸収率もアップします。ブロッコリーはビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、葉酸の含有量が野菜の中でNo.1であり、さらに抗酸化作用のあるスルフォラファンも含んでいます。ただ、ビタミンCなどは水溶性ビタミンのため、細かく切ったり、ゆでたりすることで栄養の損失が大きくなります。それを防ぐためには大きめの房に切り分け、短時間で蒸すか、ゆで汁ごとスープで食べるのがおすすめです。

冬野菜は全体的に生で食べるよりも加熱して食べるものが多いので、野菜の摂取量を増やし、結果的に食物繊維を多く取ることができます。食物繊維は体内の免疫の60~70%が存在するといわれる腸内細菌を活性化させるために不可欠なもの。人の腸には1000種類以上の腸内細菌があり、腸内には600~1000兆個も存在しているといわれます。食物繊維は小腸で吸収されずに大腸に向かい、善玉菌といわれるビフィズス菌や酪酸菌を増やすエサになります。善玉菌は腸管運動を活発にし、免疫力を強化し、腸管感染症も予防します。また、食物繊維を多く取ると便の量が増えるので、悪玉菌と呼ばれるウェルシュ菌、ディフィシル菌などの排泄をスムーズにしてくれます。

風邪の原因となるウイルスは免疫力や抵抗力が下がった時こそ感染しやすくなります。しっかり睡眠を取り、バランス良く食事を取ることは基本になりますが、風邪予防になる 栄養素を普段から多く取ることで免疫力や抵抗力を上げる手助けになります。「冬来たりなば春遠からじ」と言いますが、季節ごとの暮らしの中でその時期の食を楽しみながら、四季の移り変わりを五感で感じてみるのも素敵な時間。それは、体の栄養ばかりではなく、心の栄養にもつながるのではないでしょうか。

 

有限会社あいね 代表取締役
管理栄養士・食育料理研究家
相澤 菜穂子

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