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香川県はオリジナル品種もたくさん

野菜考(4)JA香川県「地元量販店や給食など、地産地消が増えている」

都道府県の中で最も小さな香川県は、晴れの日が多く日照時間が長い。反面、水が不足しがちなため、貯水の仕組みや、溜池、用水路などが整備されてきた歴史がある。温暖な気候を活かして秋冬野菜を中心としたさまざまな野菜が生産され、オリジナル品種の開発にも熱心だ。近年、地産地消が進んでいる香川県の野菜事情について、JA香川県の営業部販売促進課・課長の久保明彦氏に伺った。

 

JA香川県・営業部販売促進課・課長
久保 明彦 氏

 

生産量トップ3はブロッコリー、レタス、いちご

―香川県ではどのような農作物が多く生産されていますか。

久保 圧倒的に野菜が多いですね。2017年度は、園芸作物の目標を224億円に設定していますが、そのうち野菜が188億円、果樹が27億円、花きが9億円です。野菜の中でもメインは、売上順に、ブロッコリー、レタス、いちご、青ネギ、ミニトマト、アスパラガス、玉ねぎ、きゅうり、金時にんじん、にんにく、菜ばなの11品目です。

収穫時期の長いいちごや青ネギ、施設で栽培するミニトマトやアスパラガスなどを除くと、11月から4月ごろにかけて収穫される秋冬野菜が多いですね。いちごが野菜に含まれているのは変に思われるかもしれませんが、果物として扱われるのは販売時で、生産者側は野菜として分類します。

全国レベルで上位にランクインしている野菜は、昨年度実績で、ブロッコリーが全国第4位で、8千924トン、売上41億円、「らりるれレタス」のブランドで出荷しているレタスは7位で、1万5千517トン、売上32億円、いちごは13位で、2千127トン、28億円です。有名なにんにくは、全国第2位で、215トン、5億2千万円、菜ばなは3位で、622トン、5億2千万円です。全国第1位の野菜は金時にんじんで、2千220トン、5億5千万円です。一般的なにんじんに比べて長さが長く、色が赤い金時にんじんは、お正月のおせち料理には欠かせない食材で、全国流通量の約8割を占めています。

香川県の農業は、かつては少量多品目でしたが、平成に入って「らりるれレタス」が一世を風靡したこともあって、レタスの生産が中心となりました。その後、10年ほど前からブロッコリーの生産が急激に増え、現在はレタスを上回っています。その大きな理由は、一般消費者の食が変化し、ブロッコリーを多く食べるようになったことです。レタスは「サラダ」というイメージですが、ブロッコリーはいろいろな料理に使われますよね。その上栽培の手間も比較的掛からないので、増えたのだと思います。

 

―これらの野菜は、どこで消費されることが多いのですか。

久保 品目にもよりますが、例えばブロッコリーやレタスは、約6割が京浜市場に出回ります。以前は東京、大阪の順でしたが、10年ぐらい前から地元で流通する量が大阪を上回るようになりました。いちごや青ネギなど一部の品目を除けば、その他上位の野菜は、概ね京浜、中四国、近畿の順です。

しかし、野菜・果樹を含めた園芸作物全体で見ると、地元での消費量が最も多いです。15年ぐらい前までは、高松中央卸売市場でのセリ売りが8割で、相対取引は2割程度でした。しかし、全国第2位の激戦地区といわれるほど県内に大型量販店が増えたことで、各産地で相対取引が増加し、品目も取扱量もだんだん増え、地元に出回る量が多くなったという経緯があります。同じくらいの時期から、給食でも地元産の新鮮な野菜を使いたいという声が出始め、学校給食とも連携するようになっています。

大型量販店で開催された香川県産品フェア

 

―香川県オリジナルの品種もあるそうですね。

久保 野菜の代表的なオリジナル品種では、アスパラガスの「さぬきのめざめ」があります。アスパラガスは、植えたままにしておくと、穂先の部分が開いて木に成長していきますが、成長前の柔らかいものを収穫して、25㎝の長さに揃えて、2月ごろから4月にかけて出荷されます。同じ株を15〜20年養成するので、収穫後の4月から6月は木を育てて根に養分を送り、翌年の収穫に備える「立茎」という作業を行います。しかしさぬきのめざめは、穂先が開きにくい品種なので、50㎝まで育ててから収穫することができます。一般的な品種の倍の長さで、太くて柔らかくて、とてもおいしいです。

現在、香川県内のアスパラガスは約600トンで、そのうちさぬきのめざめは約50%です。もっと増やしたいのですが、同じ株を15年以上使う上に、一度アスパラガスを育てた畑は、土を全部入れ替えない限り、続けてアスパラガスを植えることができません。新しい品種を増やすのは、なかなか難しいですね。

香川県オリジナル品種「さぬきのめざめ」

 

また果樹ではオリジナル品種がたくさんあります。「小原紅早生」という真っ赤なみかん、キウイは「香緑」(こうりょく)、「香粋」(こうすい)、「さぬきゴールド」、「さぬきエンジェルスイート」、「さぬきキウイっこ」、「讃緑」(さんりょく)とほとんどがオリジナル品種です。

 

―香川県の気候の特徴はありますか。台風などで被害を受けることもあるのではないですか。

久保 溜池が多く、水路が網の目のように張り巡らされているので、満潮時に大雨が降ると水路が溢れ、道が川となり、その先にある住宅が冠水してしまいます。しかし、香川県はありがたいことに、台風で大きな被害が出るのは15年に1回ぐらいと、とても少ないです。

逆に雨があまり降らず、1994年には、飲水にも困るほどの大渇水を経験しました。それ以降貯水能力を高めていますし、異常気象なのか、定期的に雨も降るようになり、渇水で大きな問題になることもなくなりました。香川県は温暖で、年間日照時間も長く、農作物を栽培するにはとても適していると思います。

女性が農業に目覚める

―香川県の就農人口の傾向はいかがですか。

久保 減っていますし、高齢化していますね。おそらく就農者の平均年齢は70歳を超えていると思います。一方で、この5〜6年は若い就農者が徐々に増えています。一旦は都会で就職したけれど、祖父母や両親の跡を継ぐために帰ってきた方々です。若い就農者には、作付面積を増やしてもらって、機械化された大規模農家を目指していただきたいので、JAとしては、スムーズに土地の貸し借りができるように、情報を提供できる体制を整えたいと考えています。

 

―県外から来て農業を始める人もいるのですか。

久保 瀬戸内芸術祭が有名になったこともあり、小豆島などでは年間4〜5人の移住者がいると聞いています。地中海のような風景とオリーブに憧れて来られるようですが、現実はなかなか厳しいようですね。その反面、いちごを作りたい、ブロッコリーを作りたいと、本当に就農したい方は、地元の農家の協力も得て育っています。まず大口の農家に雇っていただき、3〜5年ぐらい修行をして、のれんを分けてもらう形で独り立ちするというのが一般的です。修行をしながら地域にも馴染んで信頼を得なければ、土地を借りるのも難しいですからね。

県外出身者にとって一番壁となるのは、初期投資でしょう。基本的にはたくさん作らなければ成り立たない。そのためにはトラクター、肥料をやる機械、除草する機械などの農具やトラックが必要で、最初にいろいろなものを買わなければなりません。買った農具を納める倉庫も必要です。もともと家族が農家ならば、こういう資産を受け継ぐことができますが、初めての方は莫大な投資金額がかかるのです。

最近は女性の力がすごいですね。現在、20〜40歳代の就農者で構成したグループが各地域にできてきています。その一つに8名ほどの女性で構成されているグループがありますが、彼女たちは自分の考えをしっかり持って農業をしているので、仕事っぷりも大したものです。以前はエステティシャン、ネイリスト、栄養士、学校の先生など、全く違う仕事をしていた人たちです。女性のきめ細かさ、コミュニケーションの力も大きいのでしょう。市場流通だけでなく、直売所で販売したり、県内のデパートや飲食店にも直接卸したりしています。

昔は、日に焼けるし、汚くなるし、農業はあまり好まれなかったと思いますが、女性が農業に目覚めてきたなと感じます。

 

若い世代とも密接な関係を築きたい

―食育などの取り組みは行っていますか。

久保 小学校に出向いて行う「出前授業」を、年間3〜4校で実施しています。その学校がある地域で多く生産されている品目を題材に、JAの職員や農家の方が先生となって授業をします。

子どもたちを対象にした「あぐりきっずくらぶ」という活動も行っています。食農体験活動「あぐりスクール」では、年間8回ほどの講座を開き、農作物について学んだり、植え付けや収穫などを体験したりしてもらっています。今年度は、8月にはぶどうの収穫体験を、10月には稲刈りをしました。

「べじふるる」という小学生ユニットもあります。香川の食べ物と農業を応援するユニットで、県内各地のイベントに出演して、オリジナルの歌を歌ったり踊ったりしてくれています。

また現在特に力を入れているのは、香川県の農産物を使ったレシピです。埼玉県の女子栄養大学とのコラボで、学生の方に実際に産地を見学してもらい、レシピを考
えていただいています。今年度末にはレシピ集として、ホームページや本の形でお披露目する予定です。その中から、まず一つを選び、レトルト食品として商品化する準備も進めています。

今後もこういった取り組みを続けたいですし、四季折々の品目を使って、商品化していこうと考えています。

 

―とても多彩でユニークな取り組みをしていますね。

久保 JAというと、高齢の方には馴染みがありますが、若い世代とも密接な関係を築きたいと考えています。まず結婚して子育てをする世代の方々から、香川の農作物、農業にもっと興味を持っていただきたいですし、いろいろな体験によって「農業も悪くない」と思っていただけたらうれしいですね。

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