2021/09/13

栄養素、十分足りていますか⁉

コロナ時代の栄養管理

改定・食事摂取基準のポイント

5年に1度、改定される食事摂取基準が2020年に新しくなりました。栄養に関連した身体・代謝機能の低下の回避の観点から、【健康の保持・増進】【生活習慣病の発症予防および重症化予防】に加え、今回の大きなポイントは、【高齢者の低栄養予防やフレイル予防】も考慮されていることです。

フレイルとは? 年齢を重ねることにより、筋力や活動が低下している状態で、健常と要介護の中間状態のことをいわれています。

高齢者は加齢に伴うさまざまな能力低下や運動不足、食欲低下、また、軟らかくて食べやすいものに偏りやすいなど、栄養的に偏った食事になる傾向があります。若い世代においても痩せ願望による栄養の偏りが問題視されており、生活習慣病とともに、低栄養も課題となっているのが現状です。表1は、今回の改定で目標量、目安量の増減があった項目の一例です。

表1:偏りやすい栄養素と欠乏・過剰による弊害

生活習慣病とフレイル予防を意識した内容に注目!

注目すべきは、高齢者におけるタンパク質の下限値の目標量が引き上げられ、ナトリウムについては食塩相当量で男性:8.0g→7.5g、女性:7.0g→6.5gへとさらに減塩となり、飽和脂肪酸(%エネルギー)は3〜14歳:10以下、15〜17歳:8以下と摂取目標量が設定され、生活習慣病予防と、フレイル予防を意識した内容となったことです。その他、ビタミン、ミネラル類、食物繊維などの目標量も増加していることにも注目です。

タンパク質や野菜を十分に摂取することは、体調を整える上で非常に大切です。しかしながら、タンパク質や野菜が増えると、味付けに使用する塩分や脂質が増える傾向があります。ここで、栄養をしっかり取りながら、減塩するポイント10カ条をご紹介します。

【1】無塩にして素材の味を楽しむ
【2】だしやきのこ類、糀などを使用し、うま味を活用する
【3】酢やレモンなどのかんきつ類、香辛料やしそなど、香りのあるものを活用する
【4】きび砂糖や白みそなど、甘味を活用する
【5】加工食品をなるべく減らす
【6】定食スタイルにし、丼もの、麺類を減らす
【7】汁物は具を多め!
【8】しょうゆ、ドレッシング、ソースは掛けるよりもつける
【9】魚、肉、大豆製品など、まんべんなく食べるようにする
【10】小魚や魚の缶詰、干し野菜などを活用して、栄養価の高い食材を活用する

まずは1日のうち1食からでも、できることから始めてみてはいかがでしょうか?

 

コラム執筆:ヘルシーフードラボ代表 管理栄養士 梅田やすこ

illustration(title):東京家政大学造形表現学科 片山 未唯

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