2019

09/12

働き世代必見!! 「地域包括支援センター」のサービス

  • 介護

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川内 潤
NPO法人となりのかいご 代表理事 

隔月刊ドクターズプラザ2019年9月号掲載

隣(となり)の介護(3)

前回のコラムで、「上手に介護と向き合っている方は、早い段階から、決して一人で抱え込まず、会社や兄弟・親戚にも相談し、公的な機関(地域包括支援センターなど)を上手に活用しながら介護をしている」とお伝えしました。中でも「地域包括支援センター」は家族の介護を考える上で、非常に重要な役割を果たす公的機関です。そこで、今回は「地域包括支援センター」で行っているサービスについて説明させていただきます。

「地域包括支援センター」とは?

“高齢者のよろず相談所”ともいわれる「地域包括支援センター」は、行政が運営もしくは委託された公的な相談機関で、高齢者のさまざまな相談に対応する専門家が常駐しているセンターです。まずはインターネットで「地域包括支援センター(スペース)ご自身や高齢の家族が住んでいる住所」で検索してみてください(地域により「あんしんケアセンター」「お年寄りセンター」「ケア24」「地域ケアプラザ」など独自の呼び名の場合もあります)。

「介護保険の代理申請」サービス

「地域包括支援センター」は介護予防から遠距離に暮らす親御さんのことまで、さまざまな相談に乗ってくれますが、その中でも、ぜひ皆さんに知っていただきたいサービスとして「介護保険の代理申請」というものがあります。家事援助や身体介助を家に来てしてくれるホームヘルパーや、日中に介護施設に通って食事や入浴などの介護サービスを受けるデイサービスなど、公的な介護サービスを1〜3割負担で利用するには介護保険の申請をして、要介護認定を受ける必要があります。ですが、特に働き世代にとっては、平日は仕事が休みづらかったり、親御さんが遠距離に住んでいたりすると、介護保険の申請や要介護認定までの手順の全てに対応できないことがあります。そんなときこそ、親御さんのお住まいの地域を管轄する地域包括支援センターの「代理申請」のサービスを利用することおすすめします。

「介護保険の代理申請」の手順

⒈「地域包括支援センター」へ「代理申請」を依頼

親御さんのお住まいの地域を管轄する地域包括支援センターへ電話で「代理申請」を依頼します。親御さんに対する困りごとなどを書きまとめて、一緒に伝えます。上手く取り合ってもらえない場合は、「センター長をお願いします」と改めて電話します。

⒉「申請」のための書類(「介護保険要介護(要支援)認定申請書」)を準備

役所のサイトからダウンロードしたり、地域包括支援センターから送付してもらうことも可能です。親御さんに破棄されぬよう、送付先は依頼人の住所に。緊急の場合は申請書の作成も地域包括支援センターが行うこともあります。

⒊役所へ申請

印鑑持参の上、「介護保険被保険者証」あるいは「健康保険被保険者証」を親御さんの住む市町村の役所の窓口へ申請します。地域包括支援センターによる代行も可能です。

⒋「主治医の意見書」の作成

主治医の意見書は行政側が病院へ依頼しますが、いきなり行政側から主治医に連絡がいくと、親御さんの実態がうまく伝わらない恐れがあるため、申請後に「主治医意見書」のことを主治医に伝えておきましょう。また、家族側から依頼した場合は費用が掛かる場合があります。慣れたクリニック・医師なら、「行政からの依頼になりますので、申請書に医師の名前を書いてくだされば大丈夫ですよ」と返答してくれます。

⒌一次判定のために調査員が訪問

親御さんが調査員を追い返したり、「何でもできる」と返答したりして介護の必要がないと判断されぬよう、家族もしくは地域包括支援センターの職員が立ち会い、日々の生活の中での不安や困りごとを箇条書きにしたものを、親御さんがいない玄関先で調査員に渡しましょう。

⒍二次判定が行われ、介護認定が決定

訪問調査員の一次判定、主治医の意見書をもとに複数人で話し合いをする二次判定で、介護認定を決定し、その結果が郵送で通知されます。

⒎「ケアプラン」を作成し、介護サービスの利用開始

通知された介護度が「要支援1・2」ならば「地域包括支援センター」が、「要介護1〜5」ならば「ケアマネジャー」が「ケアプラン」を作成し介護サービスの利用がスタートします。申請して介護認定の通知まで約1カ月超かかりますが、急を要する場合などは申請した日から介護サービスが受けられます。ただし通常1〜3割負担で利用できる介護サービスを一旦は全額負担し、後から7〜9割の返還を受けます。全てを一人で抱え込むのではなく、「地域包括支援センター」などの公的な機関も上手に活用することで、仕事と介護の両立が可能となるのです。

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