小川 夏佳 さん

北海道大学大学院保健科学院
保健科学専攻看護学コース修士1年生

2021/05/06

震災の経験と地元の暮らしから目指した看護の道

  • IFMSA-Japan

医療系学生インタビュー(45)

災害時には、医療従事者として関わりたい

―看護師を目指したきっかけは何ですか?

小川 中学1年生のときの東日本大震災が大きなきっかけです。地元が宮城県なので、県内や東北地方で大変なことが起きたときに率先して関われるような仕事に就きたいと思って医療の道を志しました。

最初は医学科を目指して一浪したのですが、早く現場で働きたいと思っていたのと、祖父母が病気になった際に「一番近くで支えられるのは看護師だ」と感じたことで、看護の学科に進もうと決めました。

北海道大学を選んだのは、1つのキャンパスにいろいろな学部があって、保健学科も看護だけでなく5専攻あるので、いろいろな専攻の人と関わって幅広い話を聞けると思ったからです。

―好きな授業・苦手な授業はありますか?

小川 私、実習の方が好きなんです。実際に患者さんとお話しして、その人の生活背景などを知って、ケアについて考えることが好きです。反対に座学での講義はつらく感じました。病気の勉強も大切なのは分かるのですが、病気を座学で学んでも全然頭に入らなくて。でも実習先では患者さんの病気は絶対に分からないといけないので、そのために勉強するのはすごく楽しかったです。

―大学院ではどんな研究をする予定ですか?

小川 災害看護と高齢者という2点をベースに研究したいと思っています。どちらのテーマも、地元での経験が原点になったものです。私の実家は宮城県南部の仙南圏に位置する町にあります。東日本大震
災のときは津波も来ず、農家なので野菜もあって、水も山から引いていて、プロパンガスも灯油ストーブも薪焚きのお風呂もあったので本当に恵まれた環境だったと思います。テレビが点いたのは被災から約1週間後だったのですが、そのときに初めて津波の映像を見た衝撃は忘れられません。もしもまた災害があったら次は医療従事者として関わりたいと思い、災害看護を研究することにしました。

また、宮城は大好きですが、実家の周りはバスもなく交通の便が悪いです。高齢でも車を運転したり自転車に乗ったりしている人がほとんど。危ないと思っていてもそうしないと生活できないんですよね。そういう環境もあって、高齢者の暮らしと看護ということにも興味があります。

―将来どのような看護師になりたいですか?

小川 患者さんに寄り添って、もともと送っていた生活に戻れるような看護をしたいです。その人の持っている力を引き出すことが大事なのだと、実習を通して感じました。また、災害時などに活動するDMAT(災害派遣医療チーム/Disaster Medical Assistance Team)のような団体に入ることも、憧れの道の一つです。

失敗したから踏み出せた大学院への挑戦

―医系学生団体IFMSA-Japanに所属しているとのことですが、どんな活動をしていましたか?

小川 主に携わっていたのは、公衆衛生に関する委員会と、性と生殖・AIDSに関する委員会です。公衆衛生に関する委員会では、「Healthy Lifestyle Project」という企画を中心になって運営しました。多くの人に健康的な生活を提供することをコンセプトに、健康的な食事を作る料理教室や、運動を簡単取り入れる方法など生活習慣に基づいた健康づくりの企画を考案・実践するプロジェクトです。性と生殖・AIDSに関する委員会では北海道地域の代表を務めており、いろいろな高校や小学校で性教育を行いました。さまざまなメンバーから刺激を受けることができた、とてもいい経験でした。

―今までの人生で影響を受けた人はいますか?

小川 特に印象に残っている方が2人います。
1人目は、高校時代のアメリカ研修で出会った、ハーバード大学で公衆衛生学を学んでいる女性です。彼女が話してくれた「マインドフルネス」、「いつでも目の前にあることに集中して全力で取り組む」という考え方がとても印象的でした。それを聞いて以来、自分がやろうと決めたことに対して全力で取り組むことを意識しています。

もう1人は北大の先輩です。「食医」を目指していて、医者でありながら料理を学ぶためにイタリアに行くなどさまざまな活動をしています。突然「イタリアで修行してくる」と言われたときは「どういうこと?」と思いましたが(笑)、とても面白い人です。その人がきっかけで私はIFMSA-Japanに入り、北大のサイエンスコミュニケーションを学ぶ講義を受講するなどの挑戦もできました。学生のうちから何でもやってみることが大事、むしろやってみて存分に失敗できるのが学生の強みなのだと教えられましたね。貪欲にやりたいことを模索する先輩の姿が、大学院進学というチャレンジを考えるきっかけにもなったと思います。

―後輩たちにアドバイスをお願いします。

小川 やりたいと思ったことは怖がらず挑戦するべきだと伝えたいです。達成できなくても、やろうとした姿勢が素晴らしいと思います。私は学生生活でいろいろ失敗して、できなかったこともたくさんあるのですが、だからこそ大学院でもっと研究したいと思うことができました。いろいろな選択肢の中で、自分のベストを探していってください。

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