根本 美咲さん さん
弘前大学医学部5年
2026/05/01
自ら知ることを大切に、地域に根差した医者を目指す
医療系学生インタビュー(76)
自身の体験に導かれた医師への道
―医師を目指したきっかけを教えてください。
根本 先天性の疾患の手術や経過観察を担当してくださった先生との出会いが、大きなきっかけです。私は0歳の頃に頭蓋骨の手術を受け、20歳まで経過観察を続けてきました。成長するにつれ、その疾患の重さを理解できるようになり、先生に本当に助けられたのだと感じるようになりました。同時に、医療の力はまるで魔法みたいに人の人生を変えられるんだと、医師の道へ憧れるようになりました。また、4歳の頃に祖母が脳卒中で倒れ、病院や介護施設で暮らすようになり、家族みんなが心配や後悔を抱えながらサポートする姿を目にしてきました。そんな状況の人を減らしたいという思いもあり、医師を志すようになりました。
―弘前大学を選んだのはなぜですか?
根本 弘前大学は地域に密着した活動に取り組んでいて、市民全員を対象とした「岩木健康プロジェクト」という健康診断を行っています。予防医療や早期発見・早期治療にも力を入れていて、総合診療医を目指している私にとって、学びたいことが学べる大学だと思い選びました。
異なる地域・生活を知り、医師としての幅を広げる
―学生生活はどのように過ごしていますか?
根本 4年生までは講義が中心だったので、朝6時頃に起床してランニングをしたりジムへ行ったりし、その後、8時40分から17時頃まで大学にいます。5年生からは臨床実習が始まり、生活も学習のスタイルもガラッと変わりました。臨床実習では、先生方からご指導をいただくことで、講義で学んできた知識の横のつながりを作ることができます。また、患者さんの病気に対する姿勢から、生きるということについて考えさせられる機会も増えました。「病気ではなく人を診る」ことの大切さを感じる毎日です。サークルは救命救急サークルに所属しており、放課後はファストフード店でアルバイトをしています。医療以外のことに取り組み、幅広い人と出会いたいと思いアルバイト先を選びました。それぞれニーズが異なるお客様へ対応することは、自分にとって勉強になっています。また、組織運営に関しても学びが多く、将来の役に立ちそうだなと感じています。
―学生生活を通して、他にどのようなことに取り組んでいますか?
根本 47都道府県の旅巡りをしています。残るは四国と九州です(笑)。以前、読んだ本に「人は経験したことでしか想像ができない」という言葉がありました。それで、まずは私の知らない日本各地を訪れることにしました。私は関東で育ち大学から東北へ移ったので、想像以上に生活環境が違うことに驚いたんです。それぞれの土地で受け継がれてきた伝統や郷土料理、その土地で多い疾患など、日本の中だけでも地域によって異なることを目の当たりにし、もっと各都道府県の違いを見ていきたいと思うようになりました。旅では観光にとどまらず、地元の人に話し掛けてお話を聞くことを心掛けています。
―これまで影響を受けた人や大切にしている言葉はありますか?
根本 影響を受けたのは、私の手術を担当してくださった先生です。手術の時だけでなく、年に2回の経過観察も、私の年齢や理解力に合わせて説明をしてくれて、寄り添ってくれました。とても信頼していますし、その先生との出会いが医師の道を目指すきっかけにもなりました。そして夢を応援してくれている両親には、一番感謝しています。
大切にしている言葉は「一人では生きていけない」という言葉です。受験をする時も進学の時も親や友人にサポートをしてもらいました。大学でも、医師はさまざまな医療職の人と協力し、患者さんを見守ることが大事だと教わりました。アルバイトをしている時も、一人でできることは限られていると感じます。何かを人に与えるためには、他の人と協力し共に頑張ることが大切だと思います。それを意識しながら、いろいろな人へ感謝を忘れずに生きていくことが大事だと思っています。
自ら足を運び、社会と関わりを持つことを大切に
―将来はどのような医師になりたいですか?
根本 将来は、地域に根付いた総合診療医を目指したいと思っています。祖母の看護や介護の記憶もあり、相談ができる町の総合診療医になりたいと考えるようになりました。「先生、ちょっとここが最近痛いんだけど」というように、世間話も交えながら気軽に相談ができる医師になりたいと思います。それによって早めに病気を見つけ、対策ができる環境をつくれたらいいなと考えています。
―最後に、後輩たちへアドバイスをお願いします。
根本 医学部だけにとどまらず、広い世界を見ていこうと心掛けることが大切だと思います。ほかの世界がどのような仕組みになっているのか、人間関係がどのように培われているのかなど、外の世界を自ら知ろうとすることが必要だと思います。
今はインターネットで検索できる時代ですから、それでも良いと思いますが、実際に自分で足を運んだり、旅行してみたりするのも大事なことではないでしょうか。遠くに行かずとも、まずは近くを散歩してみるのも良いかもしれません。周りにはどのような人がいるのか、どのような生活があるのか、どのような問題があるのか、いろいろな人と関わりを持つことを大切にしてほしいと思います。