西川 裕里香 さん

横浜市立大学医学部4年

2018/04/10

広い視野で日々を楽しめる医療者に

  • IFMSA-Japan SCORA/性と生殖・AIDSに関する委員会

医療系学生インタビュ―(27)

得意、不得意な授業があるけれど、どんなことにも、興味が湧いてくる!

――医師になろうと思ったきっかけは?

西川 祖母と母が看護師だったこともあり、病気の話や病気で苦労している人の話を聞く機会が多かったんです。テレビなどで医療系のドキュメンタリーを見るのも好きでした。そういうこともあってか、自分自身、何か体に不調が出ると、あれこれ勝手に考えてしまって不安になるタイプでした。そういう時は、かかりつけのお医者さんに行って検査をしてもらい、いろいろ話を聞いてやっと安心する。普段は楽天的なのですが、病気については怖がりなのかも知れないですね。なので、不安を感じている患者さんを安心させてあげられる医者になりたいと思いました。

――大学ではどのような勉強をしていますか?

西川 2年生の時の基礎医学は生物や化学に近い内容で、人間の体や病気のメカニズムについて知ったり考えたりする授業で、とても楽しかったです。
横浜市立大学の4年生の前期は、授業がなく、この間は自分の興味のある研究室で勉強することになっています。私は、この期間を利用して、アメリカのシンシナティにある研究室へ4カ月ほど行く予定です。以前から基礎研究には興味があったので、この機会に思い切り集中して新しいスキルや経験を得たいと思っています。

――話を聞いていると、勉強や研究を楽しんでいることが伝わってきます。

西川 私が通っていた中学校、高校は自分の疑問を追求するような授業を取り入れていました。興味の幅が広がり、自分の頭で考える、自分で動いて探求する。そういう姿勢が自然に身に付いたのだと思います。大学での勉強も、もちろん得意不得意はありますが、面白くない授業はありません。どんなことでも、“ナゼ”だろう、どうなっているのだろうと考えていくと興味が湧いてきます。

国際医学生連盟の活動で多くの出会いと刺激を得た

――印象に残る出会いはありますか?

西川 一番はIFMSAとの出会いですね。国際医学生連盟と言い、国際NGOとして世界規模でさまざまな活動をしています。世界的には130万人以上の医学生が参加し、日本支部の個人会員は700人ほどだと思います。IFMSAの中に六つの委員会があるのですが、私は2017年度、SCORAという委員会の代表を務めました。

――SCORAではどのような活動を?

西川 SCORAは性と生殖・AIDSに関する委員会です。若者の性に関する知識や意識を向上させることを目指して活動しています。小中高生への性教育の出張授業や、ネットや街頭での活動などを通じて、性感染症やセクシュアルマイノリティーに対する正しい知識を広めようとしています。性教育を実施するに当たって、できるだけ自分たちの体験を交えて、身近なことと感じてもらえるように話しています。私たちが大学生ということもあってか、真剣に聞いてもらえることが多く意義を感じられます。

――なぜIFMSAやSCORAに参加しようと思ったのですか?

西川 知人の誘いで存在を知り、国際サマーキャンプへの参加や、先輩方のプレゼンテーションを聴いて興味を持ちました。キャンプでは英語で活発な議論が交わされ、みんな自分の意見を周囲に伝えるのがとてもうまい。プレゼンテーションも心に訴えかけるものでした。こんな人になれればいいなと思えるロールモデルがたくさんある場です。学校の勉強とは違う意味で勉強になることがたくさんあり、常に刺激を与えてくれる仲間がいます。

――その中で、一つの委員会の代表を務めたのは大きな経験ですね。

西川 本当に忙しかったけれど、やりがいがありました。人と人を結び付ける役目でもあり今後に大きく生かされると感じています。

――今後はどのような未来を描いていますか?

西川 人と関わっていきたいので、将来は臨床医もいいのですが、研究にも興味があって迷っています。高齢化する日本の社会で私が特に課題だと感じているのは、がんとアルツハイマー型認知症などを含む神経変性疾患です。幼い頃から感じていた、「多くの人が苦しむ病気を治したい」というシンプルな希望を実現する可能性を秘めているのが研究なのではないかと感じています。

――医療の道を目指す後輩にアドバイスを。

西川 後輩から悩みの相談をされた時は、自分なりのアドバイスをするとともに、いろいろな人の話を聞くことを勧めたいです。自分とは違うタイプと決めつけて普段関わらない人も、話してみると違う視点や新鮮な刺激をくれるかもしれません。また、どのような状況でもそこに楽しみを見つけてほしいと思います。他の多くの人が無意味でつまらないと感じる授業や、大変な仕事も、必ずそこから自分が得られることがあります。できるだけ物事のポジティブな面を見つけ、どんなことも成長のチャンスと思うこと。それを伝えたいです。

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