Vol.156 2022年1月号
川柳上手は生き上手3
江畑 哲男 さん
(一社)全日川柳協会副理事長 麗澤大学オープンカレッジ講師
この二年ほど、私たちは新型コロナウイルスに翻弄されてきた。「……きた」という過去形を用いてし
まったが、この原稿を書いている現在( 10月中旬)は、落ち着いた様相を見せ始めている。ワクチンの絶大なる効果か? 感染者数は驚くほど激減している。ありがたい。
他方、私たちはこの間大きな変化を強いられてきた、好むと好まざるとにかかわらず。働き方や学び方、他人との接した方や日常生活全般にわたって、変わらざるを得なかった。ポストコロナはウィズコロナの時代だ、とか。今後もさらなる変化・変容を求められていくのであろうか。
ふと、思ったこと。
私たちの父母(or祖父母)の時代はどうだったのだろうか、と。戦争の時代を、庶民はどう生きてきたのだろうか。
おそらく、現在とは比較にならないほどの困難や不便さに何度も何度も直面したに違いない。衣食住、全てに事欠いた時代であった。それでも、私たちの親は変化に耐え、窮乏に耐えて生きてきた。清く、明るく、元気に、賢く、生き抜いてきたのだ。
そのたくましさは尊敬に値する。いかなる時代にあっても生きぬくたくましさをそこから学ぶべきではないか。親の時代の生活力を範としながら、ウィズコロナの時代に立ち向かおう。川柳をよき友としながら( 川柳以外の趣味でも構わないが)、明るく、楽しく、元気に生きていきたいものである。
では、入選作からご紹介する。一部作品にはコメントを付した。
長寿より今うまいもの食べたいよ (時間餅)
食欲でわかる私の健康度 (まろりん)
維持したい理想体型手料理で (蛍)
おうち時間増えて脂肪も増加した (おでん)
健康がないと終活できません (島根のぽん太)
なるほど。そうかも知れませんね。
年金日ATMにおじぎする (千瑠)
「おじぎする」が良かった。
顔よりも健康重視で選ぶ嫁 (ブラックキャット)
かかりつけワクチンに似た安心感(だいちゃんZ!)
医療従事者の皆さんに感謝!
治ったと思えば顔出す持病かな (須藤美知子)
薄味に慣れて素材の旨さ知る (須藤茂夫)
表情筋変顔作って鍛えます (おまさ)
ユニークさ全開の句。もう一歩で、ベスト3入りだった。
Vol.156の
ベスト作品
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◎トップ賞
新米に
肥えたさんまの
焦げる音
古田水仙
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やっぱ君がいるから
つくる三食
伊師由紀子
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リモートの
医者の笑顔の
裏を読む
弘美