2025年12月
生きることを励ます川柳8
江畑 哲男 さん
(一社)全日本川柳協会副理事長、麗澤大学オープンカレッジ講師
「《川柳上達の近道》って、ありますか?」。ある時、川柳教室で受講生から質問されました。私は即座にこう答えました。
「あります、あります」。「ただし、多少の努力と投資が必要ですよ!」と。
ぶっちゃけ。何の努力もしないで上手になろうなんて、虫が良すぎます(笑)。フトコロを全く痛めないで、上達できる芸事なんてこの世には存在しません。
他方で、「《川柳上達の近道》なんてありません」。こうも申し上げております。
まぁ、自分自身の健康管理と同じ理屈ではないでしょうか? まずは、日々の努力が大切です。地道に、焦らず慌てず、一歩一歩目標に向かって進んでいくしかない。そう考えております。
もう一点。
《自己流》ではダメ。健康を維持するためには専門家のアドバイスが必要なように、川柳上達に関しても指導者や指南書は欠かせないのです。
拙著で恐縮ですが、『魔法の文芸―川柳を学ぶ』(飯塚書店)くらいはぜひお読みくださいナ。こうも申し上げております。
《自己流》では当然ダメ! なのです。
川柳教室や各種講座に思いきって参加してみてはいかがでしょうか。きっと新たな視野が開けていくことでしょう。読者の皆さんの町にも、川柳の勉強会がきっとあるはず。探してみませんか?
「人生百年時代」。
いま小生は大学のオープン講座から小さな勉強会まで、各種教室の講師を務めております。シニア世代は実に勉強熱心です。教室には、学ぶ意欲のあるシニア世代でいっぱいです。
さあ、あなたもその一人になってみませんか。頑張りましょう!
健康は一手間かけてゲットする(ワタミツ)
階段を選んだ自分ちょっと好き(よみや)
階段は誰でもタダの健康器具(アルサプア)
禁煙でおいしくなった朝ごはん(悦)
縛られず晴耕雨読五七五(晴耕雨読)
あの病院数値が低く出る噂(在星猫)
健康診断悪いとこなしちと不安(わさ)
百歳の声を聞こうと腹八分(もふもふ)
葬儀用写真撮ってもまだ元気(牛美)
スマイルは元気になると処方され(としちゃん)
気付いたら真面目に生きて病なし(本橋理音)
ノンアルがハードル下げる休肝日(しむらむし)
歩くたび今日も元気と足が言う(まいか)
歩くたび寿命延びると言い聞かせ(しばくろ)
ポイ活で捗る日々のウォーキング(だっち)
足腰は和式トイレで鍛えてた(カラスの行水)
休めよと言った上司が休まない(ヤスノリ)
外出の予定無くても紅をさす(上村ひろし)
健康を守ると誓う退院日(山田明)
さて、ベスト3作品はこの方々です。
◎健康へ歩け食べろと忙しい(かぐや姫)
「♫しあわせは~、歩いてこない♪」という流行歌がありました。努力なくして健康は手に入りません。しっかり、「歩く」「食べる」が肝心なのです。ハイ!
○念仏をとなえて入る診察室(しんのすけ)
いやぁ、楽しいですね。これぞユーモア句の真骨頂! たしかにこんなこともありそうな。文学というのは、ウソのような本当。ホントのような嘘を追求するのです。
○夫婦旅できる体に感謝する(ショクドー)
素直な一句。その素直さが光っておりました。シニア世代の幸。夫婦が揃っていて、しかも夫婦一緒に元気で旅行ができるなんて、とっても幸せなことなんですよね。
今回の川柳
ベスト作品
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◎トップ賞
健康へ
歩け食べろと
忙しいかぐや姫
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念仏を
となえて入る
診察室しんのすけ
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夫婦旅できる体に
感謝するショクドー