2022年4月
川柳上手は生き上手4
江畑 哲男 さん
(一社)全日本川柳協会副理事長、麗澤大学オープンカレッジ講師
コロナもいよいよ3年目に入りました。コロナ禍で「個」の生き方が問われている、そんな気がしております。
嘆き節を繰り返してもダメ。他者を攻撃しても解決にはなりません。「明るく・賢く・たくましく」生きていくにはどうしたら良いのか? 模索しながら、私たち一人一人が答えを出していくべきなのでしょう、きっと。ウィズコロナというのは、そういう時代なのです。
個性に応じた、状況に応じての、いわば「応用問題」といえるのかも知れません。その応用問題たる「個」の生き方の示唆に、川柳が少しでもお役に立てば幸いです。
川柳の力は偉大ですぞ! 侮れません。何度も繰り返しておりますが、その発想力は大したものです。モノゴトを違った切り口から見てみる・捉え直してみるというのは、簡単なようで案外難しいのです。
一方的な見方や同じような考え方ばかりが洪水にように押し寄せる昨今、「どっこい、私なりに生きているぞ!」といった気概を、川柳で存分に発揮してください。
お待ちしています。
では、佳作から紹介しましょう。
夜ふかしを止めるだけでも若返る(ねぎ坊主)
地下鉄の駅の階段ジム代わり(坂倉翔子)
テレワーク増えた時間でストレッチ(こっぺぱん)
早ければほとんど治す現代医学(須藤美知子)
マスクなお付けてコロナに油断せず(竹澤 聡)
刻み食たべて元気を取り戻す (咲智子)
家事掃除自宅でできるダイエット(自宅暮らし)
外回りあれが唯一フィットネス(フクラギ)
化粧する昔話も厚く塗り (WWD)
生きること簡単そうでむずかしい(うさぎのみみ)
新品のシューズを履いてランニング(明裏素)
古アルバム整理しながら旅巡り (正)
太るから白米抜いてケーキ食べ(とらにゃん)
巣ごもりで下腹あたりが成長中 (しお)
定年後犬が付き添う朝散歩 (眠り猫)
お待ちかね、今度はベスト3作品の発表です。
◎巣ごもりが体重計に叱られる(上村ひろし)
そうそう、巣ごもりだけではイケマセン。体重計に叱られます。「体重計」を持ってきたところが作者のお手柄でした。
○青い空イイね押したいウォーキング(ひろぴー)
「イイね」という句語がよかった。まさしく、イイね(!、笑)です。春が来ました。青空もご機嫌よさそうです。
○おさんどん追われるうちが花と知る(島根のぽん太)
ぽん太さんの作品は、逆説的な真理を突いています。前回も「健康でないと終活できません」という句をいただきました。
今回の川柳
ベスト作品
-
◎トップ賞
巣ごもりが
体重計に
叱られる
上村ひろし
-
青い空
イイね押したい
ウォーキング
ひろぴー
-
おさんどん
追われるうちが
花と知る
島根のぽん太