Vol.155 2021年9月号
川柳上手は生き上手 2
江畑 哲男 さん
(一社)全日本川柳協会副理事長、麗澤大学オープンカレッジ講師
膨大な数の投句を頂戴しました。ありがとうございます。「川柳上手は生き上手」というタイトルを前回掲げました。その霊験はあらたか(!)のようで、個性的な作品をたくさんお寄せいただきました。そういう訳で、今回は生き上手な皆さんの作品を、できる限りご紹介するように致しました。一部作品にはコメントをお付けして。
一点だけ。「生き上手」ってどういうことでしょうか? ご覧いただければ分かるように、視線がユニークなんです。テレビなどのいわゆる「受動型メディア」にはない感性を感じます。そこが魅力です。
コロナ禍でとかく鬱になりがちな昨今。少なくとも気持ちの上で負けてはいられません。ちょっとした視点の変換は、人生を上手に生き抜く知恵にもつながるような気が致します。どうぞ、お楽しみください。
まずは、入選作品から。
ウォーキング赤信号でホッとする(しなやかーる)
分かりますよね(笑)。「ホッとする」はたぶん実感でしょう。
血圧計買ってはみたが邪魔くさい (寝惚眼)
「邪魔くさい」。これまたホンネか。
ストレスと思うからこそストレスに(島根のぽん太)
たしかにそういう面も(笑)。
筋トレを俺に勧めて妻昼寝 (としまる)
体脂肪蓄積上手消費下手 (八尾のひらりん)
万歩計稼ぎ頭は医者通い (あざみのかかし)
ディスタンス昔紫煙で今コロナ (今 ゆうよ)
健診で知った五臓の嘆き節 (ふわりねこ)
三日坊主秘訣ばかりを知りたがる(なるほどマン)
五十肩ジャミラの気持ち分かち合う(宇留戸羅満)
ジャミラは、昔懐かしい怪獣の名前。
いびきならせみ時雨にも負けません(しんちゃん)
もの忘れ頼んだ方も忘れてる (愛 植男)
百薬の長とは言えぬ飲みっぷり (夏舟)
筋肉は割れたが彼氏には振られ (弘美)
お日さまに呼ばれたようで靴を履き(みんせい)
エアロビをすれば地震と間違われ(にじのいろ)
ハンモックリラリラゆれてリラックス(伊師由紀子)
みな元気冬に打ち勝つ草野球 (竹澤 聡)
さあ春だ原動力の恋燃やす (杉野ふみ子)
上2句。やや季節外れですが、勢いに押されて入選としました。
血圧の高さ身長越え候 (須藤美知子)
「候」と来た! そのおどけ調が良い。
ダーツのよう筋肉注射目をそらす(たかたんの晴れ間)
「ダーツのよう」、この比喩いいね!
Vol.155の
ベスト作品
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◎トップ賞
若いって
いいな元気度
キラッキラ
上村ひろし
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健康に
なると顔出す
サボり癖
山田明
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ダイエット
一人五輪の
幕が開く
巣ごもり日和