Vol.144 2018年3月号
改めて、川柳とは?
江畑 哲男 さん
(一社)全日本川柳協会理事、獨協大学オープンカレッジ講師
川柳、基本のキ⑶
前号に引き続いて、掲載句一句一句にコメントを付けて参りましょう。
どの習い事でもそうなのですが、「理論と実践」が大事です。理論面では、拙著『アイらぶ日本語』(学事出版)や『川柳文法力』(新葉館出版)をご参照ください。実践面では、今号のようなコメントにぜひご留意ください。
もう一工夫を
率直に言えば、もう一工夫欲しい作品が多いのです。その「一工夫」のポイントを指摘すれば、下記になります。
① 語彙(安易な言葉選び)
② 語順(説明の順序があまりに単純)
③ 文法(「てにをは」など)
ついでながら、雅号も工夫しましょう。本名も良いですよ(筆者などはずっと本名です)。雅号を付けるなら、ふさわしい雅号、まさしく雅な名前をお考えください。
では、作品を見て参りますね。
▷春が来るリフォームしたい膝や腰(中込悟)
→素直な気持ちを素直に詠みました。
▷薄味に笑顔を足せば星三つ (こまっちょ)
→これまた素直な作品ですね。選者も素直に納得できました。
▷老化から逃げる手立てと趣味に生き (パンダちゃん926)
→そうですね。その趣味に川柳をどうぞ。
▷再会の握手もハグも名前出ず(ポンタロウ)
→あはははは。ハグまでして、名前が出ない? もしかしてお相手も同様だった!?
▷脳活のため口数を多くする(ペエチャンと)
→そう、お喋りも大事。「脳活」になる!? あっ、そっか。だから、女性は元気なのか。
▷塩分を控え砂糖は二倍入れ (ひでほん)
→原句「いれ」を「入れ」に直しました。
▷杖代わりにお手々つないでウォーキング(牛美)
→この句も一部表記を直させていただきました。あとで、原句と見比べてください。
▷検診日数値が良くて歌が出る(しゃりべん太郎)
→「歌も出る」では、どうでしょうか?
▷採れたての味はポパイが知っている(ばいなりい)
→「採れたての味」が効いております。
Vol.144の
ベスト作品
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◎トップ賞
淡い恋
生涯持って
老い上手
小泉正夫
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乗る度に
踏み絵に見える
体重計
石尾節子
-
ジョギングの
腕強く振る
冬の空
竹澤聡