Vol.129 2015年7月
川柳のユーモア
江畑 哲男 さん
(一社)全日本川柳協会常任幹事、早稲田大学オープンカレッジ講師
ユーモアの効用 その4
川柳はストレス解消に役立つ。一般の方々からは、そのように思われているのでしょう、きっと。先日、コレまでとは違う、少し変わったオファーをいただきました。「かしわ元気塾」という団体からのオファーでした。
医師と川柳のコラボで
同塾は、柏地域医療センターの開設記念時に発足した団体で、市民の健康維持・増進、医療介護連携の推進を図ることを目的としているようです。柏市や柏市医師会と連携をしながら市民が企画を練り、毎月の講座を展開しています。その企画が大変ユニークなのです。聞けば、中心になっているのは元気塾のメンバー(=市民)だとか。素人ならではの発想を活かして、ある意味イケイケドンドンの企画を推し進めている、とも伺いました。その元気塾。今年の五月は、「ストレスを川柳にかえて」というテーマを設定しました。中身は? と言えば、以下でした。
①ストレス症状や予防について、精神保健福祉師より講義。
②川柳の魅力について、及び川柳創作のアドバイスを小生から講義。
③併せて、柏市医師会の先生と小生とのかけあいトーク。
④参加者による川柳創作とそれに対するコメント。
……、いやはや、大変盛りだくさんな企画でした。
5月17日(日)に実施されたこの講座は、これまで最高の参加者、ナント300名を超える市民が集まったようです。まさしく「元気塾」の企画となりました。
一つの会場に入りきれなかったので、二会場に分かれて講義やトーク、川柳のコメントを展開。お陰さまで大好評。笑いと共感に包まれた二時間余となりました。
終わって思わず伺ったこと。「ところで、お医者様はどのようにストレスを解消されているのですか?」と。相方の柏市医師会・長瀬慈村先生曰く、「上手に気分転換をしています」と。なるほど、サスガです。
さて、今月もあと一歩で入選!、という作品から紹介しましょう。
▷日向ぼこなんて優しき治療かな(栗月)
▷通学路学童見守る老いの意地 (金丸孝助)
▷早起きを日の出と競う定年後 (万歩計)
▷食欲を味方につけて八分目 (寿美野寛子)
▷便利さの陰で老化がほくそ笑む (白瀬白洞)
Vol.129の
ベスト作品
-
◎トップ賞
順調に
老化している
まあいいか
矢野名智子
-
老いの身を
修繕しながら
生きている
吐詩翁
-
入院で
スマホ依存も
快癒した
銭湯親爺