Vol.125 2015年1月号

川柳のユーモア

江畑 哲男

(一社)全日本川柳協会常任幹事、早稲田大学オープンカレッジ講師

腰痛治療のため時々お世話になる整形外科の先生は、今やすっかり川柳ファンである。診察の度ごとに、「川柳は面白いですねぇ」と仰って下さる。
ある時「どんな川柳がお好きですか?」と伺ったら、「お年玉老後のために貯めておく」(小五=発表時、宮内威人)と、「見舞いには日本銀行券がよし」(今川乱魚)の二句を挙げられた。いずれも、お金をテーマとするユーモア川柳である。「お金」には、ホンネと建前が昔から同居する。従って、ユーモア川柳には持って来いのテーマになる。

川柳のユーモアと笑いの効用

川柳と言えば、「ユーモア」。川柳にアプローチしてくる方の多くは、その「ユーモア」性に惹かれるようだ。笑うことで、日常生活に潤いや癒やしを求めているのであろう。
実は、「ユーモア」と「笑い」とではニュアンスに若干の相違がある。しかしながら、そんな解説は面白くないし、かつ理屈っぽくなってしまう(笑)ので、この場での言及は避けることにした。
代わりに、「ユーモア」や「笑い」の効果・効用を紹介したい。その効果・効用は、現在では広く知られるようになってきた。具体的に列挙してみよう。

(ア)ストレスの解消になる。
(イ)人間関係が丸くなる。
(ウ)力が抜け、リラックスができ、心に余裕が生まれる。
(エ)何しろ、健康に良い。(免疫力が高まる、自然治癒力が高まる、血液の流れが良くなる、血糖値を下げる等々、医学的にも証明されている。)
(オ)脳が元気になる、活性化する。
(カ)ことわざ「笑う門には福来る」のように、幸福になれる(あるいは、なれそうな?気がする)。
……と、こんなに効用を並べることができるのは嬉しい。効果・効用を並べていくなかで最もおかしかったのは、次の一節である。
「(別に)笑わなくてもよい。笑うフリ(動作)をするだけでも『笑いの効用』があるのだ」と。
タハハハハ。こうなると何だか詐欺師めくが、右のような逆転の発想もまた面白いものだ、と感じた次第である。
さて、今月も入選一歩手前の作品からご紹介。

▷腹八分のブザーが欲しい冬太り(前田千文)
▷待ち時間連帯感の肛門科(竹子デラックス)
▷体にも家計にも好い腹八分(きんもくせい)
▷宇宙船免許取るまでウォーキング(老沼正一)
▷子に言ってた「よくよく嚙めよ」子に言われ(塚崎てる子)

Vol.125
ベスト作品

  • 流行語

    だけにエボラは

    してほしい

    しむらむし

  • 診察に

    世間話も

    聴く名医

    一湖

  • メタボ腹

    ありのままでと

    言われても

    グノーシス零