Vol.120 2014年3月号
川柳の上達法 その6
江畑 哲男 さん
(社)全日本川柳協会常任幹事、早稲田大学オープンカレッジ講師
個性の感じられる推敲を
はじめに
川柳上達法も6回目。推敲のまとめに入ります。
まとめは、「作句の原点」を忘れずに、ということです。
推敲の際にも欠かせない「個性」
その昔、「クリープを入れないコーヒーなんて、……」というCMが流行りました。「フレーブ入れなきゃ美味くない」などというCMもありました。古いなぁ(笑、陰の声)。
要は、推敲にも自分なりの味付けが必要だということです。
推敲する際の留意事項としては、
①リズムを整えよう
②句意をハッキリさせよう
③説明句にならないようにしよう
④上五と下五を入れ替えてみよう
⑤時系列の転換も視野に入れてみよう
等々を挙げました。
上記はいずれも大切な事柄ですが、ただ単にまとまりのある作品に変わったというだけでは、良い推敲とは申せません。何故なら、アナタの個性ある作品とは言えないからです。
年間おそらく1万句以上の川柳を目にしている私は、時に思いきった添削を求められることがあります。そうした添削句に対して、作者がみんな満足してくれるかというと、必ずしもそうとは限りません。
添削の上手・下手はともかく、不満の多くは、原作の思いが削られてしまったという点にあるようです。川柳は上手でなくとも(失礼!)、自分なりの思いは大切にしたいものです。作者の思いを削って欲しくないという願いは、作者として当然と言えば当然でしょう。
したがって、いくらまとまりのある作品になったとしても、たとえ整った表現に衣更えをしても、作品の原点が削られては何にもなりません。だから、先生(他人)による添削ではなくて自分なりの推敲を、小生はお勧めしているのです。そして、その際には、原点たる「自分なりの思い」を消さないで残す、という提案をさせていただきます。頑張りましょう。
惜しい! 入選へもう一歩の作品。
▷腹ぺこにして心からごちそうさん (岡本恵)
▷妙案が浮かび石ける散歩道 (都わすれ)
▷餅に飽きちょっと浮気のカップ麺 (腹時計)
▷健康も恋もはじめの一歩から (りのんぱ)
Vol.120の
ベスト作品
-
◎トップ賞
健康が
何よりだよと
茶をすする
小山一湖
-
病院で
薬と菌を
もらいます
竹子デラックス
-
膝の声
よく聞きながら
散歩する
浜ぶどう