Vol.117 2013年12月号
川柳の上達法 その3
江畑 哲男 さん
(社)全日本川柳協会常任幹事、早稲田大学オープンカレッジ講師
はじめに
川柳上達法の3回目です。
高校生から作文のコツを聞かれることがあります。どうしたら上手に文章が書けるようになりますか? と。
まずは「創る」から始めてみよう!
対する私の答え。
まずは「書いてみる」、ともかく「書く」。そこからすべてが始まる。フランスの諺でしたか、「食欲は食べているうちに湧いてくる」がありました。そうなのです。書いているうちにだんだん上手になっていくのです。そういうものです。
川柳も同じ。何かを発見したら、気のついたことがあったら、自分の思いを五七五にまずはまとめてみること。川柳にしてみる。川柳を創ってみる、これが始めの一歩です。
次に大事なこと。創りながら見直す、創り終わって見直す。しばらく経ってから、よ~く見直す。この言葉でよいか、この表現がふさわしいか。別な言い回しはないだろうか、等々の試行錯誤を繰り返してください。川柳も文章も、初めから上手な人などいないのですから。
作品を見て貰うのも、一つの手です
川柳を創り慣れてくると、量産が出来るようになります。ぜひぜひたくさん創って下さい。たくさん創って、そのなかで自分がよいと思った作品。それを他の人に見て貰ってください。相手は奥さまでも、お友達でもよいでしょう。
相手の反応は結構ビミョーです。自信作がけなされたかと思うと、逆に自信のなかった作品が褒められたりして、……。身近な第三者の評価が絶対ではありませんが、少なくとも自分だけの判断よりは、よほど客観的な視野を獲得することができるでしょう。
第三者に見てもらう。(大げさに言えば)世に問う。その点で申し上げれば、本欄へ投稿するのは最良の道かも知れませんね。投稿してボツになったり、入選したり。入選作と自作との比較・検討も忘れないように。
入選一歩手前の作。レベルが少し上がってきました。
▷酒たばこ孫の笑顔が遠ざける (蒼い朱鷺)
▷薄味で妻に余生を操られ (山ごぼう)
▷今日からを明日からにする美味い飯 (完熟きのこ)
▷M君と別れて今はLといる (キノウ)
Vol.117の
ベスト作品
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◎トップ賞
万歩計
つけずに歩く
一万歩
老沼正一
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若づくり
しても身体は
知っている
原山尚美
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酒タバコ
止めて八十路の
五輪待つ
虎寿翁