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2021年の介護報酬改定

小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス 取締役
株式会社ファーマ・プラス 取締役
一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長
ドクターズプラザ2021年5月号掲載

薬剤師のお仕事(10)

介護保険におけるオンライン服薬指導の新設

2021年は介護報酬改定の年です。医療保険に関連する診療報酬は2年に1回、介護保険の改定は3年に1回で、6年に一度は同時改定がありますが、今年は介護報酬のみの改定となります。最近では在宅医療の普及とともに、クリニックや薬局も介護保険を利用した居宅療養管理指導料を算定しているところが多く、介護保険の改定にも目を配る必要が出てきました。

薬剤師による居宅療養管理指導について、医療保険と同様に施設入所者に関する指導料の見直しが行われました。患者一人の訪問に関する訪問や2〜9人の高齢者施設の居宅療養管理指導に関しては、これまでよりもさらに評価され増加となりますが、10人以上の施設入所者への居宅療養管理指導は減額となり、医療保険による評価を反映した形となりました。また、新型コロナウィルスの影響もあって急速に広まったオンラインによる服薬指導についても、月1回以上の対面による居宅療養管理指導を義務付けた上で、今回新たに新設されました。私の患者さんの中には医師による月1回の訪問診療の患者さんがいらっしゃいますが、私はケアマネジャーさんから依頼されて訪問看護と交互に月2回見守りもかねて訪問している患者さんがいらっしゃいます。そのような患者さんで状態が安定していらっしゃる方については、オンライン服薬指導が利用できるのかもしれません。ただし、そのような患者さんの多くは独居の方が多く、通信機器としては電話しかない方がほとんどですのでオンライン服薬指導の適用とならず、課題が残りそうです。

社会的処方における役割

今回の介護報酬改定で目立ったのは、栄養に関する項目が追加、または増額となっていることです。超高齢社会において、できるだけ長く健康に暮らし続けることができる「健康寿命も延長」は医療費削減の観点からも必須でありますが、国民にとっての願いでもあると思います。デイサービスやデイケアなどにおける管理栄養士の栄養スクリーニング、栄養改善加算は増加となりました。また病院でのリハビリテーションも評価されています。

さらに「科学的介護推進体制加算」も新設されました。LIFEと呼ばれる国のデーターベースへの定期的な情報提供を評価するものです。今までサービスとして扱われてきたケアプランですが、この内容をビッグデータとして解析して、どのような介護を受けている利用者にどのような事象が起きるか、介護度はどのように変化していくかを、重症化予防の観点から評価していくための取り組みで、まさに介護と医療の融合が始まると考えており、介護事業者は積極的に導入していくべきだと思っております。

年齢とともに衰えていく肉体と同時に食欲の低下、食生活の変化、筋力低下と負のスパイラルを食い止めるために、当薬局では5年以上前から管理栄養士が所属して薬局を利用される患者様だけでなく、地域の方に健康な食生活の維持、筋力低下の予防、強いては社会生活の維持(フレイル予防)を訴える活動やそれに伴う、栄養剤や健康食品の販売、漢方相談も実施してまいりました。その働きが評価され、日本栄養士会認定の栄養ケアステーションとして薬局でありながら認定されましたが、栄養士会の最近の動向で、薬局の管理栄養士の活動は制限されつつあり、大変遺憾でございます。最近「社会的処方」という言葉を耳にするようになり、昨年の骨太方針の中にも盛り込まれています。社会的処方とは訪問診療の医師が患者の生活状況も把握して、薬だけでなく地域社会とのつながりについてもつなげていくことですが、これは医師だけでなく、どの職種でもできることだと思っています。薬局は地域における医療と介護が融合している不思議な場所だと私は考えており、医療資源とともに地域資源にも目を向けて、社会的処方におけるリンクワーカーとしての役割も果たすべき活動していきたいと思います。

ドクターズプラザ2021年5月号掲載

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