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10年後の自身の家庭から考えるヤングケアラー

介護

川内 潤
NPO法人となりのかいご 代表理事
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隣(となり)の介護(14)

  • 中学2年生の約17人に1人が「ヤングケアラー」

「ヤングケアラー」に関して、初の実態調査(*1)を2020年12月~2021年1月に厚生労働省と文部科学省が行ったところ、衝撃的な結果が発表されました。

なんと、中学2年生の5.7%、約17人に1人が「ヤングケアラー」だったのです。これは1クラスに約2人の「ヤングケアラー」がいるということになります。

*1「ヤングケアラーの実態に関する調査研」https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000767891.pdf

  • 「ヤングケアラー」とは?

家族の介護や世話を担う子どもたちのことを「ヤングケアラー」といいます。また、18歳未満を「ヤングケアラー」、18歳~30代を「若者ケアラー」と分けて呼ぶこともあります。自身の生活を犠牲にしてまで担う家族の介護は、彼らの進学や就職、その先の人生に大きな影響を及ぼすことがあります。

また、今回の実態調査を受けて、国も「ヤングケアラー」に関するプロジェクトチームを立ち上げ、ヤングケアラーに関する課題や支援などを検討し始めました。

  • 10年後を考えると、他人ごとではない「ヤングケアラー」

親としては「ちょっと手伝ってもらっている」という状態が、すでにヤングケアラーを生み出しているかもしれません。例えば、障害のあるきょうだいの毎日のお世話で、勉強時間が減ったり、部活動や友人の誘いを断ったりしている状態であれば、ヤングケアラーとして将来に影響を及ぼす可能性があるかもしれません。

「まだ親は元気だし、子どもも幼いから関係ない」と思っていても、10年後の親は70~80代となり、幼稚園に通っていた子どもは中学生や高校生になります。高齢になった祖父母に生活にサポートが必要になり、それを共働きで忙しい親に代わり、学生の子どもたちにお願いする場面が出てくるかもしれません。

子どもたちもかわいがってくれた“祖父母のお世話”が、すでに“介護”になっているとは気付かずに関わり続けます。時間と体力がある若さゆえ、知らず知らずのうちに本来ならば外部の支援が必要なレベルになった“介護”まで背負ってしまう可能性があるのです。

  • 「ヤングケアラー」は孤立しやすい

ヤングケアラーの多くは自らが置かれている状況を当たり前だと思っているケースがほとんどです。そのため、友達はもちろん、学校の先生などにも相談しません。一方で、家族のお世話により友人と過ごす時間は減り、ヤングケアラーたちはコミュニティーから孤立していきます。

企業における介護相談でも若者ケアラー(元ヤングケアラー)は、口を揃えて「誰にも家族を世話していることを話したことがありません」と言うのです。周りになかなか話ができない理由を「友人に家族の世話の話をしたら白けそう」「話しても分かってもらえないのでは?」だと言い、一人で抱え込みがちです。こうして、彼らは周りにSOSを出すことをしないので、外部のサポートにも繋がりづらいのです。

  • 気づいた人が「ヤングケアラー」のサポートを!

「周りにヤングケアラーと思われる子どもがいるが、自分は介護経験や知識がなく、どうしたらいいか分からない」という相談を受けたことがありました。あなたに経験や知識がなくても、下記の2つの方法で、彼らのサポートをすることができます。

1.具体的なアドバイスはせず「大変なんだね、話なら聞くよ」と話をひたすらに聞く

当事者は人に話すだけでストレスが緩和され、頭の中や気持ちの整理もできます。

2.「プロに相談を利用してみては」と伝える

地域包括支援センターやケアマネジャーなど、介護のプロへの相談を促しましょう。あなたが、匿名でもいいので彼らの要介護の家族が住む「地域包括支援センター」(※「地域包括支援センター<スペース>町名までを含む該当する住所」で検索)に電話で相談して、対応してもらうことも可能です。

 

  • 優しい子どもや若者の未来を「家族のお世話」で潰さないために……

「本人が嫌がるのに、家族以外が世話をするのはかわいそう」と、無意識であっても、子どもに家族の世話を手伝わせている人がいたら、私は「子どもの将来はどうなるか、考えてみませんか?」と問うでしょう。「ならば、自分が1人で担うしか……」と返されるかもしれませんが、私は家族の世話で誰かの生活を犠牲にしてほしくはありません。技術が必要な直接的な介護はプロに頼るなど、誰か1人が抱え込むようなことのない介護体制をつくれば、家族は穏やかな気持ちで、介護が必要な家族に関わることができます。それは、家族みんなが幸せになれる手段でもあるのです。

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