2025

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魅地探索 喜多方市

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福島県内で6番目に大きな市・喜多方市。北西部にある会津盆地の北に位置し、東に裾野広がる雄国山麓、そして北西に霊峰飯豊山が連なり、山々を望む。それによる良質な水の恵みのおかげで、日本酒や蕎麦などの名産が生み出されている。また「花でもてなす喜多方」を掲げ、四季折々の花々を楽しむことができる。約1,000本が植えられた日中線しだれ桜並木の他、菜の花やひまわり畑には、毎年多くの人が訪れている。

ラーメンだけでは終わらない、会津盆地が生み出す豊かなグルメ。

喜多方市といえば「喜多方ラーメン」を思い浮かべる人も多いが、実は蕎麦の作付面積が全国4位(2021年)というほど生産量が多く、蕎麦の郷として長く歴史を築いてきた。9月頃になると山間部では、真っ白な蕎麦の花が咲く美しい光景が広がる。北西に位置する飯豊山系から流れる地下水が蕎麦の味を引き立て、昔から地域ごとに特色あるそばの文化が育まれてきた。雄国山麓の「雄国そば」、駒形地区の「会津駒形そば」、ヒメサユリの群生が名高い熱塩加納の「ひめさゆりそば」、高郷の「雷神そば」など、種類が豊富だ。ここ喜多方市では、昔から蕎麦はもてなしのご馳走とされており、結婚式でも必ず出てくるほどだ。2022年には文化庁が選ぶ、江戸時代から続く郷土の料理「伝統の100年フード部門」に、喜多方市の「山都そば」が認定されている。

蕎麦の生産の立役者である飯豊山系の水は、日本酒造りの要でもあり、1631年から酒蔵が逸品を手がけてきた。福島県は令和5年度に造られた日本酒の品評会では金賞受賞数で全国2位を獲得しており、県内で金賞受賞銘柄が最多だったのは喜多方市の日本酒だ。現在も9つの酒蔵が酒造りを受け継いでいる。喜多方酒蔵探訪のんびりウォーク(5月)など、季節ごとに日本酒にまつわるイベントも開催。市を挙げて、上質の日本酒を味わってもらうべく取り組んでいる。

また、農山漁村などに滞在し、自然や文化に触れながら農林漁業体験を楽しめる「グリーン・ツーリズム」にも力を入れる。米や野菜、果樹などの栽培・収穫だけでなく、そば打ちや郷土料理づくりなどもできる他、農家民宿へ宿泊できるなど「心の豊かさ」を育むことが目的だ。2006年には「グリーン・ツーリズムのまち」を宣言し、首都圏の小中学校では教育旅行の旅先としても選ばれている。

そして、春の観光名所として名高い「日中線しだれ桜並木」は、昭和59年に廃線となった国鉄日中線の跡地の一部を遊歩道として活用した道。喜多方駅から徒歩5分にありアクセスがよく、県内外から訪れる観光客で溢れる。全長約3kmの遊歩道に約1,000本のしだれ桜が植栽され、見事な光景だ。並木道の途中には走っていた当時のSLが展示されている場所や、しだれ桜の花びらがまるでシャワーのように降り注ぐ「さくらのトンネル」も。さくらまつり期間中は夜になるとライトアップされ、幻想的なひとときを過ごせる。

四季折々の絶景とともに楽しむ蔵のまち

喜多方市産業部観光交流課
観光・物産振興室 主事 大野和希氏

良質の水と米に恵まれ醸造業が盛んな喜多方市では、蔵は男性の夢の結晶として「四十代で蔵を建てられないのは、男の恥」といわれてきました。喜多方の男性たちにとって自分の蔵を建てることは、情熱をかけた誇りの対象でした。そして、数々の蔵を見物に来た観光客が昼にラーメンを食べるコースまで生まれました。昭和60年代初めには、喜多方ラーメンは日本三大ラーメンの1つに数えられるほど有名になりました。喜多方市では今後も喜多方ラーメンを発展させようとPR活動に専念し、令和6年度より市に「喜多方ラーメン課」を創設しました。

また、蔵は観光施設というより生活の一部として活用されており、見学できるものは多くありません。しかし現在も街中には白壁や黒漆喰、粗壁、レンガなどさまざまな材料を使ったものがあり、デザインの違いには、蔵を建てた男性たちのロマンを感じます。街歩きするだけでも、楽しいものがあります。

そして、四季折々の絶景といえば、ぜひ訪れてほしいのは「日中線しだれ桜並木」です。「桜のトンネル」は記念撮影におすすめのスポットです。他にも春は菜の花が、夏は東北最大級の約250万本のヒマワリが、約7.83ヘクタールに咲き誇る三ノ倉高原は名所の一つ。眼下に広がる花のじゅうたんは息をのむほどの美しさです。見晴らしの丘には、菜の花やヒマワリの花言葉にちなんで、「幸福の鐘」が設置されています。

三ノ倉高原(写真提供:(一社)喜多方観光物産協会)

秋にはぜひ、新宮熊野神社長床へ足を運んでみてください。ここは、平安時代に勧請された由緒ある神社で、境内には樹齢850年を超える大イチョウが植えられています。黄金色に輝く見事な大イチョウと落葉が境内を覆い尽くす美しい光景が現れます。

紅葉の見頃にはライトアップが行われ、神社の拝殿である「長床」とイチョウのコラボレーションは荘厳な雰囲気を醸し出しています。

ぜひ四季折々の絶景と共にグルメを味わいながら、喜多方散策を楽しんでみてください。

新宮熊野神社長床(写真提供:(一社)喜多方観光物産協会)

◆喜多方市の概要

人口/41,762人(男性20,177人、女性21,585人)
世帯数/16,076世帯
(令和6年10月1日現在)

本市は、福島県の北西部、会津盆地の北に位置し、北西に、世界遺産の国内候補に挙げられた飯豊連峰の雄大な山並みが連なり、東には名峰磐梯山の頂を望む雄国山麓が裾野を広げる豊かな自然に恵まれた風光明媚なまちです。

本市の一帯は、会津の北方に位置していたことから、古来、北方(きたかた)と称され、江戸時代には、会津藩の領地となっていました。明治以降、小さな集落を合わせて町や村が形成され、昭和20年代後半から30年代にかけて、町村合併促進法により複数の市町村が形成されました。これらのうち、喜多方市、熱塩加納村、塩川町、山都町および高郷村の5つの市町村が、平成18年1月4日に合併し、新しい喜多方市が誕生しました。

(喜多方市役所ウェブサイトより)

◆喜多方市へのアクセス

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