2017
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魅地探索(10)香川県小豆島
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魅地探索
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香川県
ドクターズプラザ2017年11月号掲載
国内外から年間100万人が訪れる、大自然とアートに恵まれた島
瀬戸内海に浮かぶ小豆島。地中海を思わせる温暖な気候に恵まれ、穏やかな海と陰影深い渓谷美、四季を通じて豊かな自然が堪能できるスポットとして、国内外から多くの観光客が訪れる。古くは、映画化もされた小説『二十四の瞳』の舞台として知られるが、近年はフィルム・コミッション活動に注力しており、映画『八日目の蝉』のロケ地にも選ばれた。2010年から始まった瀬戸内国際芸術祭の主要会場の一つにもなっており、まさに自然とアートに恵まれた島といえる。
瀬戸内海国立公園の中心地である小豆島。行政区分では香川県小豆郡に属しており、小豆島町と土庄町の2町合せて人口約2万8,000人。国内にある多くの離島と同様、小豆島でも過疎化、高齢化が急速に進んでいるが、そんな島に活気を与えているのが観光産業だ。国内外から訪れる観光客が年間100万人を超えるなど、国内の離島としては群を抜く誘客力を誇っている。空路こそ整備されていないものの、小豆島に通じるフェリーが姫路、神戸三宮、高松、岡山などからコンスタントに就航しており、交通の便はいい。関西空港や高松空港経由で外国人観光客も多く訪れる。
観光資源の中心となるのは豊かな大自然。中でも日本三大渓谷美の一つに挙げられている寒霞渓は、約200万年をかけて形づくられた自然の造形美が美しく、紅葉シーズンには多くの観光客の目を楽しませている。
一方、400年以上の歴史をもつ醤油づくりや、100年以上の歴史があるオリーブの産地、さらに佃煮やそうめんといった加工食品などで知られており、醸造所やオリーブ畑の見学ツアーを積極的に設定するなど、いわゆる「産業観光」にも島全体で注力している。また、2010年に第1回が開催された瀬戸内国際芸術祭の主要会場の一つにもなったことも、観光客誘客につながっている。瀬戸内にある12の島々とその周辺地域を舞台にした複合アートプロジェクトである同芸術祭は、春、夏、秋の季節ごとに3回に分けて開催され、2016年の第3回開催時には延べ104万人が来場。小豆島も、アートを楽しむ多くの来場者で賑わった。
◆小豆島の概要
人口/27,945人 ※土庄町の人口には豊島の人口も含まれています。
世帯数/12,305世帯 (小豆島町は2017年9月1日現在、土庄町は2017年10月1日現在)
小豆島は、瀬戸内海国立公園の中心地で、広さはわが国で19番目の島。20余の属島を含め、169.86㎢の面積をもつ。
古くは、吉備・備前の児島郡に属したが、弥生時代から塩が生産され、御名代地や皇室、神社などの塩荘園として発展した。瀬戸内海の要衝にあって、漁業、造船、廻船業も盛んであったが、豊臣家の蔵入地となり、さらに江戸幕府からも加子浦に指定された。
(小豆島観光協会ウェブサイトより)
◆交通アクセス(小豆島観光協会ホームページを基に作成)
外国人を含めた観光客増の中、島をあげて国際観光都市をアピール
一般社団法人小豆島観光協会
角田 靖世 氏
小豆島の観光客数は、2016年に110万人を記録するなど好調に推移しています。従来は海水浴シーズンである夏場と、寒霞渓の紅葉が見頃となる秋口に観光客が集中しがちでしたが、近年は醤油醸造場の見学やそうめん工場の製造工程を体験できるコンテンツなどを積極的にアピールするなど、産業観光を盛り上げることで、オフシーズンの観光客誘客に結び付けています。
もともと関西空港からのアクセスも良く、近年は高松空港に中国からの直行便が就航したこともあって、外国人観光客の姿も目立ってきています。観光協会の窓口にいらっしゃるのも、ほとんどが外国人。海外からのメールでの問合わせも増えてきました。
観光協会としては、こうした観光客を小豆島全体で受け入れようという取り組みに力を入れています。例えば島の歴史や産業などについて、観光客から質問されたときに的確に答えられるよう、観光業を中心に毎月1回「まるごと小豆島セミナー」という勉強会を実施。島の人間が、改めて島のことを勉強できる場を設けています。
また、一般の島民を対象とした「英会話セミナー」も昨年3月から月1回実施。英会話の飛躍的な上達が本来の目的ではなく、小豆島全体が国際観光都市として頑張っていることを、広くアピールしようというのが狙いです。さらに近年は小豆島フィルム・コミッションを立ち上げて、映像支援事業にも注力。当分は「映像メディア」と「インバウンド」二つを観光誘客の柱と位置付けていきたいと考えています。