2022
10/01
魅地探索 鳥取県北栄町
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魅地探索
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鳥取県
「名探偵コナンに会えるまち」を掲げ多面的なまちづくりに成功
1994年に少年漫画雑誌で連載が始まった「名探偵コナン」は、単行本の累計発行部数が、全世界で2億5,000万部(※令和3年時点)を超え、現在も連載が続く大人気作品。テレビアニメや劇場版映画も大ヒットし、世界中に多くのファンを持つ。
作者の青山剛昌氏が北栄町出身だった縁で、同町では「名探偵コナン」をテーマにしたまちづくりを行っている。JR由良駅前から1.4kmの通りを「コナン通り」として整備し、キャラクターオブジェやモニュメントを設置。町おこしの中核施設となる「青山剛昌ふるさと館」を開設し、由良駅の愛称を「コナン駅」とするなど、「名探偵コナン」を前面に打ち出した観光開発を進めてきた。
もともと北栄町は豊富な農産物で知られる町だった。町域の南部には大山火山灰土の黒ぼく丘陵地帯が広がり、大栄西瓜などのハウス栽培が盛ん。北部には日本海に面した砂丘地帯があり、長いも、らっきょう、ぶどうなどが栽培されている。なかでも鳥取県で開発された長いもの新品種で粘り気が強く、栄養豊富な「ねばりっこ」は秋から冬にかけて最盛期となる。
町内には、1864年に築造され、日本国内で唯一当時の原型を完全にとどめる由良台場跡など多くの歴史的遺構が存在し、歴史探訪を楽しむことができる。一方で、海岸沿いには風力発電のために建てられた高さ100メートルの風車9基が稼動し、環境にやさしい町としての一面も持つ。
既存の観光資源に、「名探偵コナン」が加わり、他の観光地にはない独自の魅力を築き上げている。
コロナ禍で中止していたイベントを再開。「コナン」とともに町の活気を取り戻す
北栄町 観光交流課 観光戦略室
主事 竹歳美穂子氏
北栄町が「名探偵コナン」をテーマにしたまちづくりをスタートさせたのは1997年のこと。地域振興券のデザインに名探偵コナンのイラストを採用したところ、全国のファンから問い合わせが殺到したことで、コンテンツが持つ魅力を改めて認識し、町をあげて「名探偵コナン」をテーマにした観光誘客に取り組みました。一番の目玉となったのは、2007年にオープンした「青山剛昌ふるさと館」。青山剛昌先生の貴重な原画などを展示し、国内外から熱心なファンが集まりました。
もともと北栄町は今ほど観光というイメージのなかった地域でしたが、「名探偵コナン」が加わったことで、より多方面に知られるようになりました。コロナ禍以前は、年間60〜70万人の観光客が訪れ、2019年には過去最多となる88万人を数えました。
残念ながらコロナ禍により、ここ数年は観光客が減少し、町内でも飲食店舗をはじめとする事業者の方にとって苦しい状況が続いています。
一方で、コロナ禍で中止になっていた北栄町の2大イベントについて、現在は感染対策をとりながらできる範囲で開催しています。1つは、「すいか・ながいも健康マラソン大会」。現在は全国から北栄町へ訪れていただくことが難しい状況を考慮し、オンライン参加という方法で開催しています。そしてもう1つは、毎年8月下旬に行われていた「北栄砂丘まつり」です。今年は3年ぶりに再開され、規模を縮小したものの、町内の方はもちろん近隣の方々にも楽しんでいただくことができました。 “いつまでも自粛ばかりではいられない”という町民の願いが結実し、久しぶりに町内に活気が戻ってきました。
北栄町は、子どもから大人まで楽しんでいただける町です。豊かな自然や歴史ある風景、名探偵コナンの世界観を、ゆっくり散策しながら満喫してみてください。
北栄町の概要
人口/14,549人(男性6,990人、女性7,559人)
世帯数/5,478世帯
※2022年9月1日現在
北栄町は、平成17年10月1日に旧北条町と旧大栄町が合併して誕生。北は日本海に面し白砂青松の景色が広がる砂丘地帯があり、南には黒ぼく畑の丘陵地帯が広がる地形を持ち、合併後の面積は総面積で57.15㎞2、東西約12.5㎞、南北約9.5㎞、人口は16,875人(平成17年10月1日)となりました(合併記念町勢要覧より)。
アクセスマップ
(北栄町ウェブサイトより)
Ⓒ青山剛昌/小学館