2016

03/15

高血圧症と薬の服用

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2016年3月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(36)

定期的な血圧測定と医師への報告で、治療効果が高まる

高血圧症とは

Q1 高血圧と診断されて薬を服用しています。これから一生続けなければいけないのでしょうか?

A1

一般に血圧が140/90mmHg以上の状態を高血圧症と言います。血圧はストレスや不眠、急激な運動などによっても高くなりますが、血圧が高いということは血管に負荷がかかっているということです。この状態が続くと血管に傷がついたり、血管に柔軟性がなくなって血管が詰まりやすくなったりして、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などが起きることがあります。急激に血圧が高くなった時には、めまいや頭痛、肩凝りのような症状がありますが、血圧が高い状態が続くとだんだんと慣れてしまい、高血圧症の多くは自覚症状がありません。そのため、血圧の薬をずっと服用することに抵抗がある方も多くいらっしゃいますが、薬を服用しながら血管への負担を軽減しておくことが健康維持につながるともいえるでしょう。5年、10年先の病気の予防のために薬を服用していると考えてはいかがでしょうか。また、禁煙、減塩、適度な運動を心掛けて、日常生活の中で血管への負担を少なくする努力をし、必要最小限の降圧剤で済むようにすることを心掛ければ、高血圧症が改善して薬を服用しなくても良くなることもあります。

Q2 血圧が高い時もあれば低い時もあります。医師に受診した方が良いでしょうか?

A2

人は誰しも病気であることを認めたくありません。特に高血圧症は自覚症状が少なく、血圧が高いことがあっても、低い時もあれば見過ごしてしまいたくなることも多いでしょう。血圧は一日の中で常に一定というわけではありません。怒ったりイライラしたりすれば高くなりますし、リラックスしている時は低くなります。まずは、定期的に血圧を測定してみましょう。可能であれば、診断の基準ともなる、朝起きて排尿を済ませた朝食前に毎日測定してみてください。朝に食事の支度などで忙しい主婦の方は、家事を済ませて落ち着いた頃でも構いません。大切なのは同じような状態の時に測定するということです。

望ましい血圧は120/80mmHg未満です。それ以上の方は140/90mmHg以下で正常範囲内であっても、ご自身の生活を見直して生活習慣を改善する必要があります。血圧の測定は、高血圧の治療をしている方にも大切です。医師の前では緊張して高くなったり、日常忙しい人は逆に病院に行く日はリラックスしていたり、受診時間もまちまちであることから正確とは言えません。家庭での血圧を測定して、受診時に医師に報告することが適切な薬剤、適切な量の選択につながり、治療効果が高まります。

自己判断せず、適切な服用を

Q3 薬の服用を忘れましたが、血圧は上がりませんでした。このまま血圧の薬をやめてしまっても良いですか?

A3

最近では1日1回服用すれば良い降圧剤がほとんどです。薬の持続時間を考える時に、血中濃度が半分になる時間である「半減期」を目安としますが、このような降圧剤は半減期が長くなっています。服用し始めた時には、薬を服用するたびに血中濃度が増減しますが、一定期間服用すると定常状態といって血中濃度がほぼ一定となります。定常状態になると、もし服用を忘れてもすぐに薬の効果が切れて血圧が上がってしまうということはありません。しかし、だからといってそのようなことを続けていると、定常状態が崩れて薬の効果が十分に発揮されなくなってしまいます。

血圧が安定してきて自覚症状がないからといって、血圧の薬を自己判断で調節したり中止するようなことはせず、きちんと継続してください。服用を忘れた時には、次の服用時間までに時間がある時には気が付いた時にすぐに服用してください。1日1回、朝に服用の薬を忘れた場合には、夜までに気付けばその日のうちに服用し、翌日になって気付いた場合には、前日の分も合わせて2日分服用するようなことはしないようにしてください。