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高い技術と知識が要求される診療放射線技師

職場訪問

茨城県

診療放射線技師は、いまや指示された検査をするだけの仕事ではない。撮影した画像を読んで異常を見つけたり、医師と意見交換をしたりと、診断や治療に非常に大きな役割を果たしている。今回は、茨城県牛久市にある社会医療法人若竹会・つくばセントラル病院の診療技術部・放射線技術科・診療放射線技師・技師長の佐藤雅之氏に、診療放射線技師の仕事の内容、やりがい、求められることなどを伺った。
隔月刊ドクターズプラザ2019年9月号掲載

職場訪問(4)/社会医療法人若竹会つくばセントラル病院

勉強し続けること。コミュニケーション力を磨くことが大事

診療放射線技師の役割は大きい

―診療放射線技師になろうと思ったきっかけを教えてください。

佐藤 高校生の頃、漠然と人の役に立つ職業に就きたいと思っていたのですが、私の中では「人の役に立つ=病院で働く」という図式になっていました。病院で働ける仕事をいろいろ調べていくうちに、診療放射線技師という職業を初めて知りました。今でこそ知られるようになってきましたが、当時は500人以上いた同級生の中で技師養成学校を受験したのは私一人でした。

―診療放射線技師になるにはどのようなステップがあるのですか。

佐藤 診療放射線技師は国家資格です。国家試験を受験するには、養成学校を卒業する必要があります。養成学校には4年制大学と専門学校があり、現在は4年制大学が多くなっています。私は、昼間は病院でアルバイトをしながら、夜間に専門学校に通いました。当時はそういう学生も多かったですね。日中の学校であれば3年で受験資格を取得できますが、夜間は1日の授業時間が少ないため4年通いました。養成学校では、物理、生物、化学や数学等の理系科目、解剖病理学、画像技術や医用画像学などの専門科目を学び、病院実習をします。理系科目は、放射線物理学、放射線計測学など、放射線に特化したものが多く、一般的な内容とは全く違います。高校では理系を専攻していた私も、最初は授業についていくのが精一杯でした。

特に大変だったのは放射線計測学ですね。計算の仕方や、機械の回路など、機械に特化した内容を学びます。病院の臨床の実務ではほとんど使わない知識ですが、国家試験の受験科目でもあるので必死で勉強しました。就職先としては、医療機関以外に機器メーカーという選択肢もあり、機器の操作説明、技術提供を行うアプリケーションや医療機器の開発、品質管理などをしますから、そちらの道に進む方には直接活かせる知識だと思います。

―医療機関ではどのような仕事をするのですか。

佐藤 大きく分けて、画像診断と放射線治療があります。画像診断では、X線による一般撮影(レントゲン)、CT、消化管造影検査、血管造影検査、骨密度検査、マンモグラフィなどのほか、放射線を使わないMRI、超音波検査、眼底撮影なども行います。近年はワークステーションを用いて行う検査画像の処理や解析の業務も増加しています。放射線治療は、人体の問題のある細胞にダメージを与えるための放射線を照射するもので、診断よりはるかに強力な放射線を使います。始業時と終業時の機器の点検、月に1回の放射線量の測定など細心の注意を払って行われます。

―診療放射線技師は実際に診療や診断をすることもあるのですか。

佐藤 患者さんに対する診療、診断が許されているのは医師職のみです。われわれ診療放射線技師が行う検査も、必ず医師の指示を受けてから行いますが、単に撮影するだけでなく、医師が診断しやすい画像を提供することが重要です。そのためには診療放射線技師にも、画像診断をする「読影」という能力が求められます。自ら撮影した画像を確認・診断して、何か気になる部分があれば、主治医に相談して追加の撮影等を行うこともあります。専門知識を駆使して診断に必要な結果を共有することを「読影補助」といい、われわれ技師は能力を高める努力をしなければなりませんし、果たす役割も大きくなっています。医師との連携によってより良い画像を撮影することは、何より患者さんにとって大きなメリットになると思います。

充実した設備の地域の要となる病院

―つくばセントラル病院について紹介してください。

佐藤 当院は現理事長・院長の竹島徹が、1988年12月、128床の個人病院として開院したのが始まりです。その後、医療法人、特定医療法人を経て、2013年10月に社会医療法人若竹会の認可を得、2018年8月には地域医療支援病院の認可も取得しています。現在の病床数は313床で、高度急性期、急性期、回復期、慢性期のケアミックス病院として機能しています。私が入職した22年前には、病院の建物はA館だけでしたが、現在はD館までになりました。

2012年9月にはサイバーナイフセンターを開設しました。サイバーナイフとは、特殊なロボットアームを使って非常に精度高くピンポイントで放射線を照射できる治療装置です。日本でも導入例は少なく、茨城県内では当院のみです。また診断装置も充実しておりCTは最新鋭spectral CT、MRIには音と光と映像により、リラックスして検査を受けられるAmbientシステムを茨城県で初導入し、好評を得ています。2017年4月には隣接地にセントラル総合クリニックを開設し、外来機能を移行しました。クリニック内にも高度医療機器を備えており、また在宅医療にも注力しています。人工透析にも力を入れており、県内トップクラスの規模です。隣接市内には、サテライトの透析クリニックも開設しています。関連介護施設も多数開設しており、市内だけでなく東京都にも多くの施設があります。

―放射線技術科は、どのような勤務体制ですか。

佐藤 常勤・非常勤合わせて、診療放射線技師20名(男性13名、女性7名)が所属しています。通常の勤務は8時半〜17時半で、それ以降翌朝までの当直は1名です。循環器科の血管撮影と放射線治療は専門性の観点からスタッフを固定し、またマンモグラフィは女性技師のみが対応していますが、それ以外の検査については病院とクリニックをローテーション制で対応しています。1日の検査数は、例えばCTやMRIはそれぞれ15〜20人程度、レントゲンは100人前後、マンモグラフィは市町村の検診などを中心に10〜15人程度です。地域医療支援病院としてのニーズから、月曜〜土曜日の18時〜20時、日曜日の9時〜12時のCT、MRIの検査枠を、近隣クリニックの患者さん専用としています。なるべくお待たせしないようにと考えてのことで、地域医療支援病院である当院の特徴の1つだと思います。

―職場はどんな雰囲気ですか。

佐藤 技師同士で互いに助け合ったり、意見を言い合ったりしやすいですね。良い検査、画像診断のためにも、とても重要なことだと思っています。定期的にテーマを決めて勉強会も開いています。また先生方とも話しやすく、見解や考えを伝え合えるいい関係が築けていると思います。

検査の出来が診断や治療を左右する

―佐藤さんは、なぜこの病院に勤務しようと思ったのですか。

佐藤 私は当院がある牛久市で育ちました。地元に貢献していきたいと思ったので、求人のあったつくばセントラル病院の面接を受けました。当院のマークは、鳩の羽の部分が「C」を3つ重ねたデザインになっており、そのマークにも興味を持ったことを覚えています。3つのCは「Cure」(良き治療)、「Care」(良き看護)、「Creation」(生命の創造)を表しており、そこに込められた病院の理念にも感銘を受けました。

―特に記憶に残っていることは。

佐藤 私が入職したのは、当時はあまり普及していなかったMRIを当院に導入するタイミングでした。私は学生時代にMRI検査に携わった経験があったため、新入職員ながらMRIの立ち上げを担当させていただきました。不安と緊張がいっぱいでしたが、とても大きなモチベーションになりました。またある患者さんの腰椎のMRI検査をしたときに、大腸の異常所見が疑われることに気付いたことがあります。追加撮影を行ったところ早期の大腸がんが見つかり、早期治療を行うことができました。患者さんから感謝の言葉をいただいた喜びを忘れたことはありません。

―そういうことがやりがいなのですね。

佐藤 そうですね。診療放射線技師は、医師職以外では、診療目的の放射線を扱う事ができる唯一の職業で、放射線診療に際して極めて重要な立ち位置で仕事をすることができます。検査結果の出来栄えが診断や治療を左右することにもなるので、常に緊張感を持っていなければなりませんが、早期発見により素早い治療を行うことで、多くの患者さんの命を救うことができます。

また当院は、サイバーナイフをはじめ、最新鋭のCT、ハイエンドのMRIなど、設備も非常に充実しています。診療放射線技師にとって、最新技術を搭載した診断機器を扱えることもやりがいの1つですし、患者さんの診断・治療にも大きく貢献できると思います。

―勉強することはたくさんありそうですね。

佐藤 はい。検査機器も治療法も日進月歩ですから、検査に関する知識も病気に関する知識も、常にブラッシュアップしていかなければなりません。いろいろな勉強会や研修、学会などにも積極的に参加する必要があります。当院は病院側の協力もあり、勉強しやすい体制になっているので、みんな研修などにどんどん参加して、情報共有しながら高め合っています。

―最後に、診療放射線技師に興味のある人、また医療従事者を目指す人にメッセージをお願いします。

佐藤 診療放射線技師の役割は大きくなっています。指示された検査をするだけでなく、非常に高い技術が要求され、診断と治療の知識も欠かせない、専門性の高い職業です。学校ではもちろん、仕事を始めてからも自己研鑽の努力を惜しまず、常に勉強し続けてほしいですね。学ぶことが億劫になると、そこで進歩が止まってしまいます。

もう1つ大事なのはコミュニケーションです。何かインシデントやアクシデントが起こるときは、コミュニケーション不足が根本原因であることが多いのです。患者さんに検査の説明をして最終的な同意を得る、技師同士で情報共有する、医師からの指示を受け、医師に対して自分の考えを伝えるなど、コミュニケーションは非常に重要な能力です。実習生も受け入れていますが、積極的に質問をする学生と、見ているだけの学生では差が出ますので、学生のうちから、分からないことはどんどん質問する癖を付けてほしいですね。将来間違いなく役に立つと思います。

隔月刊ドクターズプラザ2019年9月号掲載

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