2014

07/21

骨粗鬆症

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2014年7月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(26)

ライフスタイルに合った薬の選択を

薬の服用方法

Q1 1週間に一度、骨粗鬆症の薬を服用しています。友人は毎日服用していると言いますが、どちらがいいのですか?

A1

骨も肌と同じように新陳代謝が行われており、古い骨を壊して新しい骨を作るということを繰り返しています。これを骨代謝といって、古い骨を壊して吸収することを「骨吸収」、その場所に新しい骨を作ることを「骨形成」と言います。骨吸収というと骨にカルシウムを吸収されることをイメージされる方も多いのですが、実際にはカルシウムが血液中に放出されることで血清中のカルシウムの値を調節しています。また骨吸収は破骨細胞が、骨形成は骨芽細胞がそれぞれ担っており、健常人の骨代謝ではこの骨吸収と骨形成はバランスが取れています。

骨粗鬆症は、骨吸収が進み、骨形成が追いつかない状態を言います。骨粗鬆症の薬はこの骨吸収と骨形成に着目した薬に大別されます。なかでも最近よく使用されている1週間に一度服用する薬は破骨細胞の働きを抑えることで骨吸収を低下させるビスホスホネート製剤という薬です。中〜重度の骨粗鬆症に使用されますが、ビスホスホネート製剤は腸管からの吸収が悪いのが欠点です。ただでさえ吸収が悪いので、胃腸が空っぽの状態で効果が最大限発揮できるように「起床後すぐに服用し、その後30分は水以外を飲んだり食べたりしてはいけない」と決められています。またカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも薬の吸収が悪くなる原因の一つとなってしまいますので、ミネラルウォータではなく単なる水で服用していただくようにお願いしています。

このように服用方法に制限のある薬なので、当初は毎日服用するタイプのみでしたが、1週間に一度、今では1カ月に一度服用するタイプも開発されました。同じ薬剤であれば、どのタイプでも薬の効き目に違いは無いと言われておりますので、ライフスタイルに合ったタイプを選ばれるのが良いでしょう。

歯の治療と薬の影響

Q2 歯医者で骨粗鬆症の薬を服用しているかと聞かれましたが、治療に支障があるのでしょうか?

A2

ビスホスホネート製剤の重大な副作用として「顎骨壊死」があります。発生の機序などまだ解明されていない部分も多いのですが、特に抜歯の際にはリスクが高まると言われています。歯科のガイドラインでは、ビスホスホネート製剤の服用期間が3年以上の場合、原則として歯科処置の少なくとも3カ月前から薬を中止し、また処置後はその部位の骨の治癒傾向が認められてから再開するように勧めています。しかし、服用期間が3年未満で他の危険因子がない場合は、中止することなく処置が可能となっておりますので、お薬手帳等で服用期間を確認する必要があるでしょう。骨粗鬆症の薬でも、ビスホスホネート製剤以外の薬は歯科処置に問題はありませんので、むやみに心配せず自分の服用している薬が該当するかどうかを、まずはかかりつけ薬剤師に確認して下さい。

カルシウム摂取

Q3 骨粗鬆症の薬を服用していれば、カルシウムは積極的に摂らなくてもいいですか?

A3

骨粗鬆症の薬のうち、骨吸収を抑制する薬剤が現在では多く使用されておりますが、それまでは骨形成を促進する為のカルシウム製剤や、カルシウムの吸収をよくするためのビタミンD3製剤、骨形成促進作用のあるビタミンK2が中心でした。しかし、骨粗鬆症の治療において、骨形成促進に着目しているだけでは閉経後の骨吸収の速度に追いつかず、骨吸収を抑制する薬が開発されてきたのです。日本人のカルシウムの摂取量は欧米と比較しても少なく、骨吸収を抑制する薬剤を服用していてもカルシウムやビタミンDの摂取は心がけるようにしましょう。