2015

05/16

頻尿

  • null

小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2015年5月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(31)

頻尿には様々な原因があるので要注意!

過活動膀胱

Q1 春になって出掛けることも多くなりましたが、年をとってからトイレが近くなったのが気になります。お薬で治せますか?

A1

一般的には朝起きてから寝るまでの尿の回数が8回以上の場合を頻尿といいますが、原因は様々で、それによって服用する薬も変わってきます。

高齢者に多いのが「過活動膀胱」です。尿が膀胱の中に溜まっていないのに突然トイレに行きたくなる病気で、脳卒中やパーキンソンが原因でなりますが、老化によっておこる場合も多くあります。尿は、膀胱を縮めて尿道を緩めることで排出されますが、そのときにアセチルコリンという神経伝達物質が働いています。過活動膀胱では、アセチルコリンの働きを抑える「抗コリン剤」が効果があります。抗コリン剤の特徴的な副作用として、口の渇きや便秘があります。また、緑内障やイレウスの方は症状が悪化してしまうので服用してはいけません(禁忌)。他の薬との相互作用もある薬ですので、医師の診断による処方が必要となります。医師や薬剤師にご相談ください。

一方、薬局で購入できる市販薬や漢方薬の中にも頻尿に効果がある薬剤もあります。抗コリン作用も弱く、膀胱の筋肉を緩める効果のある、塩酸フラボキサートという成分の薬です。また、漢方薬も体質に合えば効果があります。「八味地黄丸」は膀胱や尿道の収縮を抑制する「地黄」や、補腎効果のある「山茱萸」、副交感神経の抑制作用のある「茯苓」が含まれており、頻尿に効果を実感しやすい漢方薬と言えるでしょう。

加齢の場合には、薬だけで全ての症状を取り除こうとすると、薬の量が増えて副作用が障害となることも多くあります。誰にでもあるお悩みですので、簡易に使用できる尿漏れ用シートの併用をお勧めいたします。また、尿道をキュッと閉めるような骨盤底筋を鍛える体操も予防になります。薬剤師にご相談ください。

尿の勢いと残尿感

Q2 年をとるとトイレが近くなると言いますが、トイレが近いというよりは、勢いがなく、尿が残っているような気がします。

A2

過活動膀胱が膀胱に尿が溜まっていないのにトイレに行きたくなるのに対して、排尿後も膀胱内に尿が残っていること(残尿)が原因で、膀胱に溜められる尿の量が減ってしまい、頻尿となる場合もあります。前立腺肥大症の場合には排尿困難が進行して残尿が起こることが多くなりますが、その他、糖尿病や腰部椎間板ヘルニア、手術後などで膀胱を収縮する神経が障害されると、十分に排尿することができずに残尿が起こります。前立腺肥大症では、肥大した前立腺によって狭くなってしまった尿道を広げるお薬や、前立腺を小さくするお薬が処方されます。その他の排尿障害には、膀胱を収縮させるためのアセチルコリンの働きを高めるような薬を使用して、残尿の改善が図られます。「猪苓湯」など症状を緩和する漢方薬などが薬局で購入できますが、前立腺を小さくする薬は医師に処方してもらう必要が有ります。

気にされている前立腺がんは、前立腺肥大症とは別の病気で、前立腺肥大症が前立腺癌になることはありませんが、両方が同時に発生したり、前立腺がんが大きくなると前立腺肥大症のような症状が現れたりします。前立腺がんは、男性の罹患率のがんの部位として2位となるなど(2011年がん情報サービス 最新がん統計より)男性に多いがんとして知られており、高齢化に伴ってその確率は高くなっています。血液検査で腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)を測定することによって、早期発見が可能です。50歳を超えたら人間ドックなどで検査することをお勧めします。このように頻尿には、過活動膀胱や残尿だけでなく、過度の緊張やストレスなどによって起こる心因性の頻尿や尿路感染など様々な原因があり、患者さんそれぞれの症状に応じて服用する薬の種類や組み合わせが変わってきます。症状を正確に伝えて適切な薬を選んでもらえるようにしましょう。