2017

01/15

頭痛と薬の服用

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2017年1月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(41)

頭痛薬、頭痛の種類はさまざま受診した上で服用を

主な頭痛の原因

Q1 頭痛にもいろいろな種類があると聞きました。頭痛の種類によって服用する薬も変わるのでしょうか?

A1

頭痛に使われる薬はさまざまありますが、頭痛の原因によって使用する薬剤は変わってきます。速攻的に痛みを緩和する消炎鎮痛剤は薬局でも購入できて身近です。種類はさまざまあるものの薬効としてはほとんど同じです。気軽に購入される方も多いと思いますが、安易な消炎鎮痛剤の服用は危険です。必ず薬剤師に相談して服用し、頭痛が繰り返される時には医師に受診し、自分の頭痛がどのタイプなのか診断を受けて把握した上で服用しましょう。

頭痛には大きく分けて一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。一次性頭痛は頭痛の原因となる疾患が他にないもので、ほとんどの頭痛は一次性頭痛です。一次性頭痛には片側がズキンズキンと痛む片頭痛、目の奥がえぐられるような激しい痛みのある群発性頭痛、身体的、精神的なストレスが起因となって起こる筋緊張性頭痛があります。多くの頭痛の原因は筋緊張性頭痛ですが、これらが混在している場合もあります。

二次性の頭痛は、頻度は少ないものの、くも膜下出血や髄膜炎など重篤な疾患が原因となる場合があります。「今までに経験をしたことのないような激しい痛み」や「バットで殴られたような痛み」「動くと悪化する激しい痛み」などの時には、ためらわずに医師に受診してください。

頭痛と月経の関係

Q2 生理の頃になると頭痛になります。とても辛くて立って居ることもできません。毎月のことなので周囲の人にも迷惑が掛かって困っています。何か特別な病気でしょうか?

A2

片頭痛は月経と関係がある場合も多く、そのために片頭痛は女性に多く見られます。月経と因果関係のある片頭痛では、エストロゲンという女性ホルモンが大きく影響しています。エストロゲンは卵子を成長させるために必要で、卵胞期は特に多量のエストロゲンが分泌されます。しかし、卵子が成長した生理開始前になると、役割を終えたエストロゲンはどんどん減っていきます。エストロゲンはセロトニンという物質と密接な関係があり、セロトニンは血管を収縮する作用があります。月経が近づいてきて急激にエストロゲン、セロトニンの量が減ることによって、収縮していた血管が逆に拡張し、脳の中の三叉神経を圧迫して頭痛が起こります。月経の時に片頭痛が多いのはそのためで、急にエストロゲンが減少する月経の時期に片頭痛が起きやすくなります。このような頭痛の場合には、セロトニンの受容体に作用するトリプタン製剤が有効です。

子宮内膜症やそれに伴う重度の生理痛に対して保険適応の低用量ピルが処方されることがありますが、ピルの服用によりエストロゲンの量のバランスが崩れ、副作用として片頭痛が起こる場合もあります。重症度に応じて、どちらの治療を優先するか、医師と相談することが必要だと思います。月経が起因となる片頭痛は患者にとってはとても辛いのですが、周期的に起こるので、生理痛同様に仕方のないものと軽視されがちで、周囲の人には理解されにくい場合もあります。専門医での診断のもとに適切な薬剤を選択し、早めに服用していつものように生活できるようにするのが良いでしょう。

1カ月に10日以上の服用は要注意!

Q3頭痛薬を服用するのをやめるとすぐにまた頭が痛くなって、薬が手放せません。最近特に症状がひどく、薬が効かなくなってきているような気がします。頭痛薬を変更した方がいいですか?

A3

頻繁に頭痛があって薬が手放せないような場合は、薬物乱用性頭痛の可能性もあります。もともと頭痛がある方が毎日のように頭痛薬を服用することによって、逆に頭痛が頻繁に起きるようになってしまった状態をいいます。
諸外国の頭痛がある患者の1%が薬物乱用性頭痛で女性に多く、米国では約半数がこれに当たるといわれています。(日本頭痛学会ガイドラインより)1カ月以内に15日以上頭痛が起き、1カ月に10日以上頭痛薬を服用している状態が3カ月以上続いている方、頭痛がだんだんと悪化している方は薬物乱用性頭痛の可能性があります。医師の治療のもとに離脱が必要になりますので、薬剤師や医師にご相談ください。