2015

03/16

薬のかたち

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2015年3月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(30)

QOLにあわせた剤型の選択を

貼付剤

Q1 腰が痛くて整形外科に受診して、痛み止めを処方すると言われましたが、実際に処方された薬は腕に貼る薬でした。湿布とどのように違うのでしょうか?

A1

薬は大きく分けて口から服用する内服薬、口以外のところから塗ったり貼ったりして使用する外用薬、直接血管に入れる注射薬に分けられますが、内服薬と同じ成分が外用薬や注射薬として製造されているものも多くあります。湿布薬にも口から服用する消炎鎮痛剤と同成分のものがありますが、これらは局所で作用して効果を表し、全身的な作用はごくわずかです。腰や肩の痛みで貼った湿布薬によって、頭痛が治ったという方はいらっしゃらないと思います。

ご質問の方のお薬は腕に貼ることで腕の血管から薬が吸収され、内服薬と同様に全身的な効果がある痛み止めでしょう。近年、このタイプの薬が数多く製造されています。多くの内服薬の場合、口から服用した薬は胃で溶けて腸管から吸収されて肝臓で代謝されてから全身の血流にのって各部位で効果を表しますが、このような貼付剤の場合、貼った部分の血管から薬が直接吸収されて内服薬と同様の効果が期待できます。内服薬のように血中濃度が一度に高くなることはなく、ゆっくりと皮膚から薬剤が吸収されて24時間効果が持するタイプから、中には3日間、1週間効果が持続する薬剤もあります。

貼付剤は内服が困難となってきた高齢者にも適しており、消化管への負担も少なく、効果が強すぎるときには剥がしてしまえば薬の使用をすぐに中止できるというメリットがあります。一方、剥がれてしまうと効果がなくなってしまう、乾燥などの肌の状態によっては吸収が悪くなる、かぶれる場合には使用できない、などのデメリットもあります。

長時間継続してコントロールが必要な喘息の薬や心臓の薬、痛み止めだけでなく、最近では認知症の薬や頻尿の薬、パーキンソン病の薬も貼付剤タイプのものが発売されています。それぞれの患者様の状態にあわせて選択すると良いでしょう。

口腔内崩壊錠

Q2 父の介護をしていますが、最近大きな錠剤やカプセルが飲めなくなりました。粉薬にしてもむせてしまいますが、何か方法はありますか?

A2

Q1にもあるように、貼付剤や坐薬など、飲み込まなくて良い薬を選択するのも一つの方法ですが、まだまだ種類が少ないのでそれだけでは済まないことも多くあるでしょう。見た目には普通の錠剤でも、口に入れるとラムネ菓子のように溶ける口腔内崩壊錠も増加しておりますので、そちらに変更してもらうのも良いと思います。口腔内崩壊錠の場合には口の中に入れておけば、数秒で溶け、喉に引っかかることはありません。少量の水に溶かして飲むことも可能です。

または、市販の服薬用ゼリーを使用して薬を服用しやすくすることもできます。そもそも薬と水とでは物性が異なるために、水は先に胃に流れてゆき、錠剤やカプセルが食道などに引っかかってしまうことがあります。服薬用ゼリーを使用すると、ゼリーと一緒に薬がスムーズに喉から食道へ、さらに胃へと送られます。粉薬の場合もこのようなゼリーに混ぜると、服用しやすくなるでしょう。同様に、ヨーグルトやおかゆなどに混ぜて服用したり、プリンなどに錠剤を埋め込んで一緒に服用することが介護の現場ではありますが、薬によって食事の味が変わってしまいますので、薬の服用の分だけ取り分けておくと良いでしょう。

嚥下は食べ物を認識し、咀嚼して口の中で塊を作って飲み込みやすくし、喉の方へ、さらに胃へ送り込むという一連の動作から成り立っています。飲み込みが悪くなってきたときには、どの段階に問題があるのか判別することも重要です。医師、歯科医師、薬剤師、看護師などにご相談ください。