2016

07/15

糖尿病と薬の服用(2)

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2016年7月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(38)

ちょっとした工夫で薬の服用を習慣化し、飲み忘れを防ぐ

インスリン注射の使用

Q1 インスリン注射をすることになってショックです。これからずっと続けなくてはいけないのでしょうか?

A1

体の中でのインスリンの働きとしては、以下のものがあります。

・細胞内へのブドウ糖の取り込み
・肝臓や筋肉組織でのブドウ糖からグリコーゲンの合成
・貯蔵されているグリコーゲンの分解抑制
・脂肪組織での脂肪の合成と分解糖尿病の方は、インスリンの分泌

が十分でなかったり、インスリンが分泌されても十分に働かなかったりしますので、インスリンの補給が必要となります。
インスリン注射は糖尿病の最終段階と思っていらっしゃる方も多く、ご質問の方のようにショックに思われたり、糖尿病の治療について諦めたりされる方がいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。膵臓からインスリンを分泌させる内服薬(SU剤:スルホニル尿素剤)の服用を続けていると、膵臓が疲れてしまって膵臓の細胞が破壊されてしまうという考え方があり、2型糖尿病では、短期的にインスリン治療を行って疲れた膵臓を休ませ、インスリンの分泌機能が回復したら再び内服薬による治療に切り替える場合もあります。ですから、インスリン治療になったからといって悲観することはないのです。食事療法、運動療法も併用してインスリンの働きを高め、インスリン注射からの離脱が可能となります。しかし、1型糖尿病では、インスリンが分泌されないので、インスリン治療は一生続けなければなりません。

飲み忘れを防ぐには

Q2 どうしても薬の服用を忘れてしまいます。何か良い方法はありますか?

A2

糖尿病の薬は毎日服用を続けなければなりません。しかし、1日3回服用する薬もあり、どうしても服用を忘れてしまう方は多くいらっしゃるでしょう。まずは、なぜ服用を忘れてしまうのか考えてみましょう。ついつい忘れてしまうという方が最も多いと思いますが、薬を服用することを歯磨きのように毎日の生活の中で習慣化できるようにしてみてください。特に糖尿病の薬は食事の前後に服用するものが多いですから、食事と薬を結び付けて常に意識するようにし、置き場所を決めて目に付くところに置いておくようにしましょう。1日分の薬を入れるピルケースを用意して、朝にいつも準備するというような生活のリズムを作ることも良いでしょう。

食事を三食取っていないから忘れてしまう、朝食が遅いので服用のタイミングが分からない、仕事で食事が不規則という方もいらっしゃると思います。その場合には、一日の中で一番初めに取る食事を朝食後と決めるようにしてください。最近では食事に関係なく服用できる糖尿病薬もありますので、病状に合わせて薬を変更できるかどうかも、医師や薬剤師に相談してください。

また、服用する薬が多くて面倒だという方もいらっしゃると思います。糖尿病薬も含め、服用している全ての薬を朝食後分、夕食後分と1回分ずつ分包してもらえるか、薬剤師に相談してみてください。これを「一包化」といいますが、服用するタイミングや日付なども印字することができる分包機が増えておりますので、忘れずに服用できたか確認しやすい印字方法も併せて相談しましょう。糖尿病の薬の中には、食事の時に服用しないと効果が発揮されないものや、低血糖を起こしてしまうものもあります。薬をきちんと服用することが大切ですが、忘れた時の服用方法も薬剤師に確認しておいてください。

薬を服用することも、服用しないことも習慣化するものです。特に糖尿病は自覚症状が少ない病気ですので、服用を忘れることを軽くみてしまい、ついには治療を中断されてしまう方も見受けられますが、糖尿病は放っておくと合併症が引き起こされる場合もあります。薬は自分の判断で中止せずに継続してください。