2013

11/23

睡眠薬

  • null

小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2013年11月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(20)

お酒を飲んだ日は、服用しないように!

睡眠薬と認知症

Q1 歳のせいか、ぐっすり眠れなくなってしまいました。睡眠薬を処方してもらいましたが、睡眠 薬をずっと服用すると痴ほう症になると聞いて心配です。やめた方が良いですか?

A1

高齢になると眠れなくなるのは、加齢によって体内時計がくるってしまうことが原因の一つです。体温や血圧を上げて活動するためのホルモンや神経バランスが前倒しになることによって、朝早く目がさめてしまいます。また睡眠の質も若い頃と変化し、眠りの浅いレム睡眠を何度も繰り返すようになります。それによって少しの物音や尿意等によって目が覚めてしまうのです。

睡眠薬はこのような加齢による睡眠障害にも効果があることが明らかになっていますが、睡眠薬を長期服用していることによって記憶力や判断力が低下したという報告も数多くあります。しかし、認知症の発症リスクが高まるかどうかの結論は出ておらず、多くは薬の服用を休むことで認知機能が改善します。一方、不眠症も認知機能を低下させることにつながるため、睡眠薬を継続するか休薬するかは、不眠症の原因を見ながら慎重に行わなければなりません。

高齢者は薬の代謝機能の低下によって薬が体内からなかなか消失せず、翌朝まで眠気が残っていたり、ふらついたりすることがあります。短時間作用型の睡眠導入剤を低用量から開始するのが良いでしょう。さらに高齢者では配偶者との死別や独居などの心理的なストレスに加えて、メリハリのない生活や、加齢に伴う前立腺肥大等による頻尿、乾燥等からくる皮膚そう痒症、リウマチや神経痛等による痛み等……睡眠障害を引き起こす原因は数限りなく、それらを見つけて取り除くことも大切です。また早朝に目が覚めて、もう一度寝床に入っても寝付けないときには、起きてしまって朝の時間を有効に使うこともよいでしょう。やることが無いからといって眠くないのにうつらうつらと寝て過ごすことは、体内時計をくるわせる原因となります。昼間にしっかりと起きて活動することによって、夜ぐっすりと眠れるようになり、睡眠への満足度が増すことにつながります。

量を増やすと効果がある?

Q2 睡眠薬を服用しても眠れません。量を増やしたり、2種類の睡眠薬を服用したりすれば効果が出るのでしょうか? お酒の方がよく眠れるような気もします。

A2

短時間作用型の睡眠導入剤では、翌朝に眠気が残ることが少ない反面、夜中や早朝に目覚めてしまった後に眠れなくなってしまうことがあります。その場合には長時間作用型の睡眠薬を追加したり、変更する場合もありますが、量を増やしたり種類を増やしたりしてもその分の効果が感じられず、ふらつきや翌朝の眠気等の副作用ばかりが目立つことも多くあります。また、睡眠薬の中には長期服用を継続することによって効果が減弱しやすいものと、しにくいものがあります。効果が不十分と感じたり、薬が効かなくなってきたと思われるときには、自己判断で安易に増量せずに必ず主治医に相談するようにして下さい。

一方、お酒は一時的に寝付きが良くなったような気がして睡眠に効果があるように思われますが、睡眠の後半ではアルコールの代謝の反動で眠りが浅くなって頻繁に目を覚ます等、睡眠の質が悪くなります。睡眠目的の飲酒は徐々にアルコールに体が慣れて効果がなくなるばかりでなく、アルコール依存症にもつながるのでとても危険です。また、睡眠薬とお酒の併用による相乗効果によって、ふらつきや眠気、異常な行動等を引き起こす原因にもなります。お酒を飲んだ日は、睡眠薬を服用しないようにしてください。