2013

04/26

点眼薬

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2013年4月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(13)

緑内障は点眼薬と内服薬との併用にも要注意!

薬局のアンケート

Q1 点眼薬は内服薬ではないので、病院や薬局のアンケートでは記入しませんでした。点眼薬でも伝えた方が良いですか?

A1

点眼薬の種類は多数ありますが、処方されるものは大きく分けて以下の種類があります。

●細菌やウィルスの増殖を抑えるもの(抗生物質、抗菌薬)
●炎症やアレルギー症状を抑えるもの(抗炎症薬、抗アレルギー薬)
●眼圧を下げるもの(緑内障の点眼薬)
●眼に関する自覚症状を改善するもの(白内障の点眼薬、ドライアイの薬)
●瞳孔の大きさを変化させるもの(散瞳、縮瞳作用のある目薬…検査の為や仮性近視に使用)

どの点眼薬も患者様の体調を知らせる上で、医師や薬剤師に伝えてほしい大切な情報ですが、特に緑内障の治療の為に眼圧を下げる点眼薬を使用している場合には、内服薬との併用で注意が必要です。緑内障の種類によっては、副交感神経の興奮を抑える抗コリン作用のある薬は、交感神経が優位になるために眼圧を上昇させてしまうことがあります。抗コリン作用のある薬は、胃薬や風邪薬といった比較的よく服用され、薬局で購入可能な医薬品の中にも含まれています。点眼薬も使用している薬として、医師や薬剤師に伝えるようにしましょう。

点眼薬の効果

Q2 点眼薬をたくさん点眼すると効果も強くなりますか?

A2

眼の構造は、まぶたの裏から眼球の表面にかけて袋状になっており、点眼された薬剤はこの袋状になっている結膜嚢に満たされている液内に入ってから、角膜や結膜より吸収されて眼内の組織へ移行し、作用を発揮します。結膜嚢の保持量には限界があって、最大でも約30μ(l マイクロリットル)、涙液量は約7μlです。点眼薬の1滴量は30~50μlであるため、効果を発現するためには1滴で十分ということになります。それ以上点眼しても結膜嚢から眼外へあふれ出るか、まばたきによって涙液と混じりあい、鼻涙管へ排出されてしまいます。点眼薬の種類によっては副作用の原因になることもあります。

正しい点眼方法は、手洗いの後に顔を上に向けて、人さし指で下まぶたを引いて点眼瓶の先が目やまつ毛に直接ふれないように下まぶたに1滴点眼する方法です。その後,静かにまぶたを閉じて涙嚢部を押さえます。こうすることで流れた点眼薬が鼻の粘膜から吸収され、喉に流れて苦くなることや内服した時と同じような全身性の副作用を防ぐことが出来ます。最後に目のまわりにあふれた点眼薬を清潔なガーゼかティッシュなどでふき取り、点眼薬による目の周囲への刺激を防止します。

点眼薬は特に指示が無い場合は室温で保存できますが、予想以上に温度が上昇してしまう車の中には放置しないようにしましょう。また衣類のポケットも体温によって加温されてしまうので避けた方が良いでしょう。開封後は、点眼によって中身が汚染されている可能性があるので、1カ月以内に使い切るようにしてください。

点眼薬の使用順序

Q3 2種類の点眼薬を医師からもらいました。5分以上あけて使用するように言われましたが、どうしてですか?

A3

結膜嚢の涙液は5~6分で入れ替わるため、2種類の点眼薬を使用する際には5分以上あけて、はじめの点眼薬が十分に吸収されてから次の点眼薬を使用します。点眼後にコンタクトレンズを装着する際も同様に5分くらいあけてください。また懸濁性の点眼薬の場合、有効な薬剤成分は溶けずに沈んでいるので、後の方に使用して他の点眼液によって有効成分が流されてしまわないようにします。眼軟膏は軟膏基剤が油性で水性点眼液をはじいてしまうので、点眼液の後に点眼・点入します。

一般的には以下の順に5分以上あけて点眼するのがよいでしょう。5分間待っているのは大変なので、食事の前後などにすると自然と間隔も空いて、点眼薬の効果も充分に発揮されるでしょう。

水溶性点眼薬 → 懸濁性点眼液 → 油性点眼液 → 眼軟膏

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