2015

09/16

残薬

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小黒 佳代子
株式会社メディカル・プロフィックス取締役、株式会社ファーマ・プラス取締役、一般社団法人 保険薬局経営者連合会 副会長

ドクターズプラザ2015年9月号掲載

小黒先生の薬の話Q&A(33)

残薬を減らすことで、医療費削減にもつながる

Q お医者さんでもらった薬が家に余っています。このまま捨ててしまって良いか迷っていますが、どうすればいいでしょうか?

A

薬は捨ててしまうようなことなく服用できるのが望ましいと言えますが、どのご家庭にもお薬が余っているというのが現状で、これを「残薬」といい、医療費が増大する中で大きな社会問題になっています。

【残薬の解消方法】

残薬の中で今も継続して服用している薬があれば、医師の診察前に何日分余っているか数えて、診察時に医師に余っていることを伝え、処方日数をその分減らしてもらうようにしましょう。一度処方された薬剤は、後から減らすことはできませんので、事前に伝えて減らしてもらうしかないのです。

自分で数えるのが大変な場合には、薬局に行った時に余った薬を持って行くと、薬局から医師に連絡して、その分減らしてもらうことができます。医師から処方された薬を服用していなかったことを伝えるのを嫌がる患者様もいらっしゃいますが、何も言わないまま症状が悪化した場合、その症状を改善するために、さらに薬を追加されてしまうこともあります。それによって服用する薬がどんどん増えて、かえって体調が悪化したり、副作用が生じたりする場合もあります。まずはきちんと伝えて、日数調整をしてもらいましょう。

また出来れば、なぜ服用できなかったか伝えるのが良いでしょう。服用回数が多いので忘れてしまうのか、体調が良くなってきて服用しなかったのか、副作用が出て服用をやめてしまったのか伝えることによって、より適正な薬剤や用量に変更することもできます。最近では同じ効果の薬でも1日1回ですむものもあります。また1日3回の薬を2回しか服用していなくても効果が出ていると判断されれば、服用回数を減らすこともできるでしょう。残薬がある理由を伝えることで、よりライフスタイルにあった薬剤や用量に変更することができます。

【高齢者の残薬問題】

最近の残薬の問題は、高齢者の多剤併用も要因になっています。多くの高齢者は複数の医療機関に受診していますが、それらの情報が一元化されていません。例えば神経痛で整形外科、高血圧や糖尿病で内科、白内障で眼科というように複数の医療機関に受診しているうちに、それぞれの医療機関で胃の不調を訴えて胃薬が重複して処方されたり、整形外科で処方されている痛み止めや湿布が内科でも処方されたりなどです。当然全てを服用できずに薬が余っていったり、逆にきちんと服用することで相互作用や重複投与による副作用が出て、さらに薬が追加されたりといったことが頻繁に起きています。

【残薬における薬局薬剤師の役割】

限られた診察時間内では医師に十分に伝えられないこともあるでしょう。残薬を確認して日数を調整したり、変更したりすることは薬局薬剤師の重要な役割でもあります。また重複投与や相互作用についても、お薬手帳などを通じて併用している薬を伝えて、積極的に薬剤師にご相談ください。必要に応じて医師に連絡し、減薬によって多剤併用による有害事象を解消してくれます。

服用しなくなってしまった薬がある場合も、自分の判断で同じような症状の時に服用したりせず、薬剤師に相談してください。どのような状態の時に服用すれば良いのか、使用できそうな薬は整理してもらい、不要と判断された薬は薬局で処分してもらいましょう。

病院でもらう薬や院外処方せんによって薬局でもらう薬は医療保険を使用しており、窓口で支払う金額は医療費の一部です。現在の保険制度では通常3割、年齢に応じて1割の方もいらっしゃれば、小児や障害などで一部負担金を自治体などが負担して無料の方もいらっしゃるでしょう。残りは健保組合や国民健康保険基金で支払われているのですから、いわば皆様の税金などによって賄われていることになります。残薬を減らすことで、薬代も減り、医療費も減ることにつながります。医師や薬剤師と協力して積極的に残薬を減らしていきましょう。